欢迎 到中国

迎 到中国

 

我と異能者は影と歩む・外伝in中国

 

 

「〜♪」

夜の北京をカンフー服を着た女性が鼻歌混じりに歩く。

「さぁ〜てと・・・・この辺でいいですかねぇ〜。」

天安門前広場・・・・・・・女性は立ち止まり周りを見回す。

電灯も壊れ、暗闇の中・・・・女性の周りに夜の闇より黒い物体が大量に現れる。

「さぁ〜て始めましょうか♪」

女性は服の両袖から巨大な鉄扇を取り出す。その鉄扇には凄まじい数の退魔符が張られていた。

女性はニヤニヤと笑いながら挑発するように黒い物体にむかって中指を立てる。

「来〜♪(来なさい)」

その挑発に乗るかのように黒い物体は一斉に女性の襲い掛かる。

女性がその場でジャンプし黒い物体の第一撃を避けると黒い物体のうち二体が素早く反応

し、女性に追いつくようにジャンプし女性のさらに上まで飛び、鞭のような腕を女性に叩

きつけようと腕を振り下ろす。女性は予想してたかのように冷静に反応し、符付き特製鉄

扇を勢いよく開き盾のように受け止める。

「符術・扇の法・防禁雷!!」

女性がそう叫んだ直後、鉄扇に張られていた大量の符が光りだし、鉄扇に電気が帯び始め

そこに自分の腕を叩きつけた形になった黒い物体は痺れ、煙を上げて落下し地面に激突する。

女性が軽やかに着地するとそれを待ち構えていたかのように黒い物体が再び襲い掛かる。

後ろに飛び退き回避した女性は袖の中に鉄扇を戻すと代わりに各指と指の間に短刀を八本持つ。

その短刀にはやはり符が刺さっており、その短刀を八体の黒い物体に投げつける。

「符術・刀の法・燐火!!」

女性がそう叫んだ瞬間、黒い物体に刺さった符付き短刀が燃え上がり黒い物体を炎に包む。

「どんなもんです♪・・・ってえぇぇっ!!」

女性によって倒された黒い物体を踏み越えて新たに黒い物体が多数現れたのだ。

「あぁー!!もう、何匹いるんですか、影は!!」

 

大地震と共にある生き物・・・・いや、生き物と呼べるか怪しい

ものが蔓延る様になっていた。影としか言いようが無い闇であった。

大きさは小さなものから建物並みに大きいものまで出現していた。

そしてその影は・・・・・未だ北京に住む人々や北京の調査に来た政府の役人などを

食うということがわかってきていた。

そんな影を処理する者が現れた、その者達は符の力を使い、まるで魔法のような攻撃を繰り出せる・・・・人々はその者達を“符術師”と呼んだ。

 

「月牙!!」

新たに現れた影が女性に一斉に襲い掛かろうとしたその時だ、凄まく激しい斬撃が影に襲

い掛かり数体の影が切り刻まれ、消え去る。

そして消え去った先には女性と同じようにカンフー服を着た青年が朴刀持ち立っていた。

先ほどの斬撃は彼の仕業のようだ。

「なんで俺の到着を待たなかったんだ、苑喬(エンキョウ)。」

そう言って女性をにらみ付けた青年は普通とは違い、肌はとても浅黒く額に一枚の符が張られていた。

女性・・・苑喬はプクッと怒ったように頬を膨らませながら鉄扇を取り出し、構える。

「いいじゃないですかぁ〜、すぐそう睨むから貴方は嫌いです、鳳頼(ホウライ)兄様。

これくらいの数だったら私だけで御茶の子さいさいヘノカッパですっ!!」

「心配するこっちの身にな・・・・・っ!?」

鳳頼は会話を中断し視線を周囲に巡らす。

「どうしたんですか、鳳頼兄様?」

「いや、影とは違う視線を感じたのだが・・・・すまない、気のせいだったようだな。

それではさっさと終わらせる事にしよう、苑喬。」

この兄弟により影が全滅するのにそれほど時間はかからなかった。

 

 

「クスッ♪なるほど、そういう事でしたか。」

天津・・・その地域の一角に古びた道場がありその隣には一軒家が立っていた。

その一軒家の部屋の一つでパソコンの画面を見ながら青年はズレ下がっていた牛乳瓶の底ほどの厚さのある眼鏡を手で位置を直しながらニヤリと微笑んだ。

「とても興味深いですねぇ〜、うん。」

「何が興味深いんですかぁ〜、楊殊(ゆうじゅ)?」

「うわぁ!!苑喬姉様!!驚かさないでくださいよ!!ってか勝手に僕の部屋に入らないでください!!」

「で、何を見ていたのだ?」

狭い部屋の中、楊殊と呼ばれた青年の後ろからパソコンの画面を覗き込む苑喬。

そしてその後ろには腕を組んで鳳頼が立っていた。

「鳳頼兄様まで・・・・・・、まぁいいです。

えっとですね、日本に情報屋を仕事にしている友人がいるんですが、先ほどその友人から

メールが来ましてね、ほら、ここからでも見えた東京に落ちた光・・その光の正体を教えてくれたんですよ。」

「へぇ〜、それで正体はなんだったんですか?」

楊殊は再び下がってきた眼鏡をクイっと持ち上げ嬉しそうにニヤリと笑う。

「少女ですよ。」

「何を言っているのだ?楊殊。」

「そうですよぉ〜、なぁ〜にウソぶっこいちゃってんですか?シメるぞ、コノヤロウです!!」

「ウソじゃないと思いますよ、友人がその少女を預かっているそうですから。

あぁ、そうそう・・・話は別になるけど後でしっかり符具を出しといてくださいね。符を張りなおしたりしなきゃいけませんから。」

「わかりましたよぉ〜、あぁ疲れましたぁ〜お風呂はいろ〜っと。」

「・・・・・・・わかった。」

鳳頼、苑喬両名は数時間前に影との戦闘で使用した武器を楊殊に渡して部屋を出て行った。

それを見送った楊殊はヤレヤレといった感じで苦笑しパソコンのスクリーンに視線を戻した。

 

長男・・・鳳頼

長女・・・苑喬

次男・・・楊殊

この三兄弟が影の姿に怯える北京を厳しい戦いと共に駆け抜けていくことになるのであった。

 

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