GUARDIAN BULLET

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「よかろう。」

「はぁ?」

難航すると予想していた提案を静流の父・・・岬 重祇はあっさり了承した。

提案というのは静流達を匿ってほしいという事、蒼威警備保障と対立するという事である。

「もちろん条件があるのよね?」

「当たり前だ。条件は簡単だ・・・・・・・・・・・・・・。」

静流が溜息をつくと、重祇はそれを“同意”と判断し、電話で何か話す。

そして社長室を出ると貢が静流に慌てて駆け寄る。

「蒼威警備保障のガーディアンがお嬢様達を渡せとビルの入り口に来ております!!」

静流が廊下の窓から下を見ると、丁度黒服のガーディアン達の前に晶香が現れたところであった。

 

 

 

 

「蒼威警備保障のガーディアンがわが社に何の御用でしょうか?」

後ろに武装した社員を数人連れた晶香が営業スマイルを浮かべ言うと、ガーディアンを数人連れた黒服の男がニヤリと笑う。

「いや、なに・・・御社にこちらの“社員”が逃げ込んでいるという情報を耳にしまして・・・・。

引き渡していただきたいのですが?」

「申し訳ありませんがそのような情報は存じませんわ。他の人達のご迷惑になりますのでお早く引き上げていただけませんか?」

かわらずの晶香の営業スマイルにイラッときたのか黒服の男が怒鳴る。

「うだうだ言ってないで静流とかいう腐れ女と一緒に来た奴らを引き渡せ!!」

その瞬間、晶香の後ろに居た社員の表情が凍りつく。

その原因は彼らの前に立つ晶香・・・・。

「・・・・・ですって?」

「あ?はっきり言え!」

「誰が腐れ女ですって?」

「だから静流とかい・・・・なっ!?」

いつの間にか黒服の男の目の前に移動した晶香は営業スマイルを浮かべたまま、男の最大の弱点を容赦なく蹴り上げる。

声無き悲鳴を上げうずくまる男の顔面をさらに蹴り上げると、黒服の男は泡を吹いて気絶する。

「ふふふふ・・・・、次はどのツラを潰してやりましょうか?とっととかかってこいです、クサレども。」

 

「まるで狂戦士だな・・・・。」

マスク越しに言うデワンの言葉にミッシェルが呆れた表情で同意する。

「そうだね、デワン。やっとあれが静流の妹だって事実が受け入れられたよ。」

「あら、それはどういう意味かしら?チビ女。」

窓の外の光景に視線を向けていた全員が振り返るとそこには静流と白いスーツに白いコートを着た男が立っていた。

「で、そこの優男はだれだ?」

百志が言うと、静流が溜息をつく。それと同時に男は一歩進み出る。

「お久しぶりです、百志さん。覚えていらっしゃらないでしょうか?10年前の例の事件で一度お会いしたのですが?」

しかし一向に思い出せない様で首を捻る百志の横からゼクスが呆れ顔で進み出る。

「百志は物覚えが悪すぎだ。貴方は貢だったな。あの時は世話になった。」

「あははは・・・・、覚えてくださっている人が居てくださって幸いです。」

そんなやり取りをしている間に、入り口前は晶香一人で十人以上いた蒼威警備保障のガーディアン全員が地面に沈んでいた。

「晶香はね・・・私が言うのも何なんだけど極度のシスコンなのよ。」

静流がそう言うと瑞冶は引きつった苦笑を浮かべる。

「それでもって姉御への悪口を極度に嫌っていて、冗談であろうが何だろうが姉御の事を悪く言うと・・・・・。」

恐怖のあまりいきなり震えだす瑞冶の肩を、何故震えているのか察した面々が慰めるようにポンポンと叩くのだった。

 

 

 

 

 

 

「それでは皆さんの今後についてですが・・・・・あら?私の顔に何か付いてらっしゃいますか?」

何事もなかったかのような笑顔で現れた晶香の顔を見ていた静流達はそう言われて一斉に視線を逸らす。

「・・・?ま、まぁいいですけれども。皆様を匿うだけではこちらとしても利点はございません。

いわいる“働かざる者、喰うべからず”ですね。

ということで、社長からプレゼントがございますわ♪」

晶香が指をパチンとならすと、部屋の中に数人の男達が入ってくる。その男達の手にあるのは、

その場にいた蒼威警備保障脱走メンバー全員分の白いスーツと白いコート・・・そして天神警備の社員証であった。
それを溜息をつきつつ受け取った静流の携帯電話が鳴る。
瑞冶に一旦スーツとコートを預け、携帯電話を取り出すと画面には”ある人物”の名が表示されていた。

 

 

 

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