魔法都市【メルン】。魔法が日常に使われている都市・・・・・しかし魔法は便利ではある
が危険である・・・・・・なぜなら・・・・・・・
家々の屋根を飛ぶ影が二つ。月をバックに黒い髪がなびく女が一人先行しその後を優男が
追いかけている
「遅いわよ、エン!置いてくわよ!」
女が男をエンを急がす
「そんな事言ったってさぁ〜マリ姉。俺は姉みたいに身軽じゃぁ......ギャァァァァァァァ!!」
すさまじいい音と共にエンは足を滑らせ屋根から滑り落ちる
「エン!?」
マリは屋根から下りてエンの落ちた場所に向かうとそこは......
「アンタって本当に補助以外は才能無いわねぇ〜じいちゃんが泣くわよ!」
「うぅ〜(T_T)落ちたくてゴミ置き場に落ちたわけじゃないやい!それに姉みたいに運動
&魔法(攻撃系)しか才能の無い脳が堕落して筋肉になっている人に言われたくないよ。」
ポキポキ
「ギクッ、いやぁ〜口が滑っただけだよ姉、やっぱ健康第一だよねぇ〜うん運動バカ最
高!!」
ポキポキ
「さぁ〜て、エン。祈る時間を上げるからその間に後悔の無いように祈っときなさい......
あっ、それとビリビリ痺れるのと真っ黒焦げになるのと氷の彫像になるの、どれが良いか
選んどきなさい.....。」
「アワワワ〜そんなぁ〜」
そんな兄弟の微笑ましい会話を遮る大きな叫び声
「見つけたぞ!怪盗姉弟!!今日こそ逮捕だ!」
そう、エンとマリはとりあえずお家代々の怪盗だ。ちなみに大きな声で逮捕とか言ってる
男はいつも怪盗兄弟を追っている刑事でジョージと言う名前の男で、こちらも代々の刑事
だ。その後ろに数十名の警官隊がいる。
「あっ、刑事さん!あなたはなんていい所に来たんだ。ありがとう!!」
「何を言っているのだ、怪盗弟!俺はお前らを逮捕しにき......」
ジョージはその場で固まった。
「クックック♪」
「もしかして怪盗姉、めちゃくちゃ機嫌が悪かったりするのか?怪盗弟よ?って怪盗弟が
いないぃ!?」
さっきまでゴミまみれで立っていたエンはそこには居らず、すさまじい負のオーラを出し
ているマリがいるだけだ。
「クスクス♪」
ジョージと警官隊は一斉に後ずさる....。
「まっ、待て怪盗姉!!俺は何も言っていない、言っていないぞぉ〜!」
「誰が筋肉モリモリ大馬鹿単純怪獣女よぉぉぉぉぉぉ!!(*`◇´)イフリートキャレス!!」
『誰もそこまで言ってねえ〜(;△゜;)ギャァァァァァァァァァァァ!』
その日メルンに巨大魔法イフリートキャレスによるクレーターができ、警官隊数十名が重軽傷を負い精神的にもダメージを受けていた。
被害から逃げ延びていたエンは家の屋根の上で腕を組みながら言った
「フッ!警官隊の皆様、あなた達の犠牲に感謝します。やった〜マリ姉から逃げ延びたぞ
ぉ〜!」
ポンッ
「ん?ボクになにかご用で.....あっ、姉....いつの間に。」
肩を叩かれた方向にはマリが………。
ニコッ♪
「姉、ちょっとタンマ!そんな怒りっぽいと血管が切れるよ、ね!落ち着いて。」
ニコッ♪
「いやぁ〜そうやってさりげなく巨大魔法を唱えてないで……ってもう唱え終わってる
ぅ!(゜Д゜||)ノォォォォォォォォォォ!!」
「イフリートキャレス!!」
その日もう一個クレーターができたのは言うまでも無い。
メルンのメインストリートから少し裏に入ると宿&食事所【メイスン】がある。マリはその
二階の宿からノソノソと一階の食堂に下りてきた。食堂では傷だらけのエンがスープをす
すっている。
「姉、もうお昼過ぎだよ、もうちょっと早起きしたらどう?」
「う〜ん何言ってるのよエン・・・・。私は低血圧でなかなか起きられないのよ」
「関係ないだろうに・・・・・・・。」
「なんか言った?」
「いえいえいえ、何にも言ってません。」
「あっそ、そういやケイやマスターは?」
ケイはココで働く少年でココの経営者、マスターの息子だ。マスターはこの【メイスン】
のマスター。
エンはスプーンで自分の使っているテーブルの下を指す。覗くと膝を抱えてケイがブツブ
ツ何かを言っている
「で、ケイに何が起きたわけ?」
「ん〜、なんか昨日マスターに『バンパイアと戦って来い』だとか『人面牛の肉を取って
来い』だとか無理難題を押し付けられて学校の宿題ができなくて学校の先生に関節技やら
新開発した体罰装置やら食らった後思いっきり教員用机(重さ40s)の角で殴られて、
宿題をいつもの50倍出されてそれを明日までにやって来いって言われてやけくそでヒッ
キーになるんだって・・・・・。」
「ふぅ〜ん、でマスターの方は?」
「マスターはカウンターの影で、のの字書きながらイジケテル」
「親子揃ってなの?でマスターのいじけている理由は?」
「今まで貢いでいた女が貢いだものと一緒に夜逃げしていなくなったんだって。あぁ、ち
なみに女に夜逃げを進めたのは僕だけど。」
「お前が原因かぁぁぁぁゴルァ!!ヽ(Д´ )!!グフッ!」
鬼気迫る顔で突っ込んでくるマスターをマリは一撃で床に沈める。
「じゃあエン。そのスープは誰が作って持ってきたわけ?」
「ん?姉の後ろにいる新人のアルバイト店員・・・・・。」
「ふぇ?あぁぁぁぁぁぁぁぁ(σ・∀・;)σヘッポコ刑事!」
マリの視線の先にはジョージがウェイター姿で立っていた
「ヘッポコは余計じゃい!まぁ警官クビになったからいいけどな。」
「へぇ〜どうしてクビになったの?」
「そりゃ〜お前のせいだろ、怪盗姉ゴルァ!!ヽ(Д´ )!!お前に警官隊数十名フッ飛ば
されちゃ〜ねぇ〜、巨大魔法による被害もあるし当然ながらクビになったんだ。」
マリはそっぽに向きながらとぼけ、窓の近くで日を浴びる
『今日も平和だなぁ〜』
そこでジョージが一言
「お前がいなきゃ平和なんだけど・・・・・・。」
ピクッ?(メ ̄皿)
それにつられてエンも喋りだす
「ジョージさん、気持ちわかりますよ。そうですね、もうちょっと暴走しすぎというかね
ぇ〜」
ピクピクッ?(メ  ̄皿)
「だよなぁ〜魔法をぶっ放すにしても威力を考えて欲しいよなぁ〜まったく単純という
か・・・・・」
ブチッ(#  ̄´Д` ̄)
『ん?ハッ(゜o゜ ;)姉!(怪盗姉)聞こえてたの?っちょっと待って!!ちょっと待ってっ
てば!!』
「誰が単細胞暴走一直線特攻女じゃぁぁぁぁファイナルチュリオ!!」
『だからそこまで言ってねぇぇぇぇぇぇ()lll ̄ロ ̄』』 しょえーーーっ!』
空から巨大な黒い槍が真っ直ぐに落ちて宿&食事所【メイスン】を押しつぶしたのだった。
「まったく、なんであんなに巨大魔法を連発できるかなぁ〜うらやまし・・・・・いやい
やっ!その前にあんな連発されるとこっちの身が持たないというか・・・・・」
人ごみの中を下を向きながら歩きエンは愚痴を言う
「キャッ!」
「ワッ!」
エンは誰かにぶつかってしまった。目の前ではスーツを着た長髪の女性が倒れていたので
手を差し出す
「ああ!スイマセン、大丈夫ですか?ちょっと考え事をしていたもので・・。」
「え、ええ、大丈夫です。こちらこそ余所見をしてまして・・・・・」
女性はエンの手を掴み起き上がる。そこでエンは女性の膝から血が出ているのを見つけた
「あれ?血が出てるじゃないですか?ちょっと待ってくださいね。」
エンはポケットからハンカチを取り出し血が出てるところを包帯の要領で巻く
「あ、ありがとうございます」
女性の顔は真っ赤だった。
ちょうどハンカチを傷口に巻き終えた所に警官が近くによってくる。
『やばい、俺かなぁ〜逃げなきゃやばいかな』
とエンが思っていると警官は女性の方に向き言った
「こんな所にいましたか。そろそろ詰め所までいいですか?」
女性はハッと思い出したような顔をし
「すいません!!すっかり忘れてました。今行きます」
そしてエンの方を向きなおし頭を下げ
「傷の手当て、感謝します。では!」
そして警官とどこかへ去ってしまった。
「キャア!」
ただし何度もコケながら・・・・・。
そこでエンは重大な事に気がついた。
「あっ!そういやあのハンカチ、お手洗いで手を拭いた使用済みのやつだった・・・・・。
まぁいっか・・・・・♪ウゴッ!!」
エンの後頭部に誰かの飛び蹴りがもろに入りエンが5mほど吹っ飛ぶ。エンはガバッと起
き上がり後ろを向き叫ぶ
「だれだ!!俺の後頭部を思いっきり蹴り飛ばす大馬鹿常識ハズレ野朗はぁ!!」
そしてエンはその格好で固まる
「ふ〜ん、だれが大馬鹿常識ハズレの暴れ牛のように角を振り回すだけの野朗だって?(■
-■メ)」
「えっ!いやその、あのね?ちょっとタンマ!!」
「大型はダメだから小型魔法連発でいいわよね??φ(■_■ι)」
「おっ!姉にしては考えたね〜質より量にしたってわけかぁ〜さすがに姉でも少しは考え
たんだなぁ〜感心感心♪・・・・・・って俺がその魔法の攻撃対象だって事には変わりな
いじゃん!!」
「フフフ〜ψ(`∇´)ψファイヤーランス!!」
その後、本日四つ目のクレーターはできなかったが巻き添えで数十名の怪我人と器物破損
があった・・・・・。
「で・・・・、仕事(盗み)以外でほとんど外に出ない姉が俺に何の用?」
メインストリートから裏道に一歩入ったところで傷だらけのエンが横にいるマリに話しか
ける。
「ん?当たり前じゃない、仕事の打ち合わせをしようと思ってあんたを呼びに行ったんじ
ゃない。」
「で、飛び蹴りと・・・・?」
「・・・・・まぁ男がそんな細かい事でウジウジしない。で仕事の話だけど・・・・」
「話をそらしやがった・・・・・」
ポキポキ
「なぁ〜に、エン?」
「いや、何でもない、何でもないよ!!それで仕事の話だったね。」
今回のこの兄弟の仕事(盗み)は魔導石をこの町一番の金持ちの家から盗み出す事・・・
「今夜0時お仕事開始よ、いいわね?」
「うぃ〜す・・・・・」
ポキポキ
「はっ( ̄□ ̄;)!!わぁ〜いお仕事かんばろっと♪」
「うんうん、さすが私の弟ね♪」
マリが歩き去ったあとエンは思いっきりため息をついた。
満月をバックに三つの影が大きな豪邸の塀を軽く飛び越える
三人の覆面をつけた人が庭に降り立つ
番犬のドーベルマンが数匹こちらに気づき襲ってくる。
小柄な人影が何か呪文を唱え周辺に粉のようなものが降ると番犬が寝てしまった。
『ん?なんだ?』
一人の警官が番犬の変化に気がつき番犬に近づく
ゴスッ!!
背後から首筋を打たれ警官が気絶して倒れる。
「じゃあエン、警官の制服着て進入ヨロシクね♪」
そう言われて小柄な人影が覆面を外すとエンの顔がでてきた
「たくっ!なんでも面倒くさいことは俺に任せるんだから調子いいよなぁ〜うわっクサッ、
この制服何日洗ってねえんだ!?警察官って洗濯しないもんなのかい、臭すぎてたまんな
いよ、ジョージさん。」
もう一人の長身の人が覆面を外すとジョージの顔が出てくる
「うるせぇ〜夜勤とか続けばそうなるんだよ!しょうがねえだろ!」
「フフフフwそれにしてもジョージさんは元警官なのに私たちの手伝いなんてしていいわ
けぇ?」
最後の一人が覆面を取る・・・もちろんマリの顔が出てくる
「しゃあないだろ!バイト代だけじゃ暮らしていけんからな。」
その後警官の制服を着終えたエンは警官になりすまし家に侵入していく。その間にマリ達
は屋根の上に上がり屋根裏部屋の窓の前で待機する。しばらく待つとカチャと音がし、鍵
が開きマリ達は中に侵入する。中には警官姿のエンが立っている
「やっぱり予告状なんか出すから警官山盛りだよ・・・・・、ったく姉の気まぐれにも困
っちゃうよなぁ〜」
「ハハハ、まぁいいじゃない♪その方がスリルがあって。それじゃあ宝物庫に行きます
か・・・・・・」
「で、どうするんだい姉?」
「ん〜流石というかなんというかねぇ、宝物庫は三段重ねの扉・・・・・それも三段目の
扉は開錠魔法をプロテクトする文様が刻まれて尚且つ三個連続で並んでいる鍵を一斉に開
けなきゃいけない・・・・・つまりは・・・・。」
「俺たちの息がピッタリじゃないとこの扉は開かないで、尚且つ警報が鳴って警官がワン
サカやって来て俺たちは逮捕か・・・・。」
ゴクリ
エン、マリ、ジョージはつばを飲みこむ。マリが口を開く
「それじゃあ、1,2の3で開けるわよ・・・・・・。1・・・」
「2の・・・・」
「3!」
カチャ ギィィィィ
「開いた〜♪やったわぁ〜!」
「やったね姉!」
「俺がいればこんな扉なんてちょちょいのちょいよ!!」
とそのとき・・・・・。
「フフフフ♪泥棒の皆さん、計画通りに捕まりに来てくれてありがとうございます!」
『へ?』
女の声を聞き宝物庫を向くと女と数十人の警官が待ち構えていた。その女は・・・・・
「あぁぁぁ!!あのときn フグフグ」
エンが叫びそうになったところをマリが口を押さえる
そんなことも気にせず女は自分から名乗る
「前任のジョージ刑事からあなた達担当を引き継いだエストア刑事といいます!前任者に
代わり今日こそあなたたちを捕まえます!・・・・・・あれ?一人多いなぁ〜リストだと
二人組みのはずなんだけど・・・・。」
エストアの後ろにいた警官が言う
「そんなことより早く捕まえないと逃走されてしまいますよ。」
「あっ!そうでした!って(# Д ) ゜ ゜ あぁぁー!泥棒の皆さんは逃走
開始してるし!!警官の皆さん追跡です!!今日こそ逮捕するんです!」
エン達が庭まで逃げていた。
「あちゃ〜エストアとかいう女刑事にまんまとはめられたなぁ〜。」
「そうね〜あの女刑事の言っていた前任者のときは追われるのがお宝盗んだ後だから結構
楽だったのよねぇ〜」
「なにぃ〜俺のときは逃げやすいとは馬鹿にしやがって!!」
警官に追われているのにいつものペースで話している三人。
「ま〜て〜!!逃がさないわよ〜!!」
エストアと警官達が地響きをたてて追って来る。それもすごい形相で・・・・・。
「待てって言ったってまたないわよ!」
「なんですってぇ〜こうなったら・・・・・・」
マリの言葉に怒ったのか、エストアは巨大呪文の詠唱をしながら走っている
「我が声に答え黒き宙に有りしその巨大なるちか・・・・・・イタッ(☆。<)−☆
走りながらだから詠唱で舌かんじゃった・・・・えっ?」
改めて・・・・・
魔法都市【メルン】。魔法が日常に使われている都市・・・・・しかし魔法は便利ではある
が危険である・・・・・・なぜなら・・・・・・・失敗した魔法は唱えた本人に返ってく
るから・・。
ブワッ
そのときエストアが唱えていたエン達に向けて放つ予定だった巨大魔法【メテオストー
ム】がエストアの目の前で発動し・・・・・・。
合計四つ目のクレーターと数十名の負傷者、そして金持ちの家が消滅したのであった
メルンのメインストリートから少し裏に入ったところに宿&食事所【メイスン】がある。
マリはその二階からノソノソと一階の食堂に下りてきた
食堂ではエンがスープとカルボナーラを食べている
「姉、もうお昼だよ。もうちょっと早く起きたらどう?」
「う〜ん何言ってるのよ、エン・・・・。私は低血圧でなかなか起きられないのよ」
「関係ないだろうに・・・・・・・。」
「なんか言った?」
「いえいえいえ、何も言ってません」
「そういやケイやジョージやマスターは?」
「ジョージは昨日の疲れでまだ寝てる、それからケイは・・・」
エンはカルボナーラをつついていたフォークで食堂の角を指す
ゴスッゴスッ
食堂の角で可愛らしい猫の人形を鬼の形相で殴りつけている
「で、ケイは何をやってるわけ?」
「ん〜なんかいじけて姉に魔法で吹っ飛ばされながら気づいたんだって・・・・やっぱこ
のままじゃいけない、先生に反撃しなくては!って・・・んで人形相手に練習してるらし
い・・・・」
「ふぅ〜ん、でマスターは?」
『ふぉれ(それ)』
エンが口にカルボナーラを含みつつフォークで指した先には手紙がおいてある
マリが開けるとそこには一言
『探さないでください。』
「・・・・・・・・・」
そして手紙を無言で閉める
「じゃあ、エンが食べているそのカルボナーラは誰が作ったわけ?」
「ふぇのふぉふぁりのひふぉ(姉の隣の人)」
「ふぇ?あぁぁぁぁぁぁぁぁ(σ・∀・;)σオトボケ女刑事!」
「だれがオトボケですか、ゴルァ!!ヽ(Д´ )!!まぁ自分のせいで警官隊全滅さ
せちゃいましたけどね・・・。」
エンはボソッと一言
「姉より質悪いかも・・・・・」
ピクッ?(メ  ̄皿) ピクッ?(メ  ̄皿)
「てか、俺の負担かなり増えるなぁ〜」
ピクピクッ?(メ  ̄皿) ピクピクッ?(メ  ̄皿)
「まぁ料理ができるだけエストアさんの方がマシか・・・・・」
ブチッ(#  ̄´Д` ̄)(*’-’*)エヘヘ
「ギクッ!もしかして聞こえてた?」
ブワッ
いつも通り巨大な穴ができた魔法都市【メルン】であった