PHASE-12

PHASE-12「生きる力」

 

 

 

 

 

「少しはその重たそうな機体が軽くなったかい?シーサ。」

『まぁ〜ね、そっちもさらに細っこくなったね。簡単に壊れそうだ♪』

周りでの戦闘が激しい状況の中、シーサの乗るウォーズガンダムとノイン&マリアの乗るヴァルキリーガンダムが対峙していた。

しかしウォーズガンダムの背部に装備されているドラグーンシステムや

ヴァルキリーガンダムの背部に装備されているウィングファンネルが無くなっていた。

二機は戦闘を開始したと同時にお互い移動砲台を飛ばしたが、お互いがすべての移動砲台

を撃ち落していた。

「マリア、ウォーズの攻撃パターン解析完了しているか?」

「ええ、完了しています。」

ノインは一回ゆっくりと瞳を閉じ、数秒後またゆっくりと瞳を開ける。

「マリア、この戦いが終わったらオーブでゆっくりと暮らさないか?」

「え?」

「正直言って俺は少し前までマリアを、“死んだマリア”の代わりにしていたのかもしれない。」

「・・・・・・・・・・。」

「でもな、今は違うんだ。エリシアやルドルフ、キッカ・・・・そしてミルズ。

あいつらに会ってから俺は・・・お前を“代わり”ではなく“一人の大切な仲間”、

そして“一番守りたい人”として見れるようになった。

俺はお前のことが・・・・・・・・。」

「ノイン、その後の言葉は戦闘が終了した後に取って置いてください。楽しみにしていますから・・・・。」

マリアが微笑みながらそう言うとノインは苦笑しながらモニターの向こうのウォーズガン

ダムを睨み付ける。

「それじゃあシーサを倒して生きて帰らなきゃな。」

『話は終わったかい?それじゃあいくヨ。』

ウォーズガンダムが背部のドラグーンシステム本体を外し凄まじいスピードでビームライフルを乱射しながら突っ込んでくる。

ヴァルキリーガンダムは持ち前の高機動とビームシールドでそれを受け流しながらビーム

ライフルで撃ち返す。

しかしウォーズガンダムもすばやく回避しつつも攻撃を続行・・・・ある程度までヴァル

キリーガンダムに近づくとビームライフルを投げ捨て日本刀の形をした特殊ビームサーベ

ルを持ち、さらに加速して一気にヴァルキリーガンダムの目の前まで接近し、特殊ビーム

サーベルを振り下ろす。ヴァルキリーガンダムはビームランサーで受け止め、ゼロ距離で

ビームライフルを撃つがウォーズガンダムは素早く距離を開け回避する。

今度はビームランサーを構えヴァルキリーガンダムが仕掛ける。

「シーサ、お前は何のために戦うっ!?」

『なんのため?そんなもの決まってるでしょ。議長の敵は悪なんだ。

この世界は正義か悪しかいないんだよ、中間の奴なんていないんだヨ。

俺は正義の味方、あんた達は悪!!だから倒すのさ!!殲滅するのさ!!』

ウォーズガンダムは予備のビームライフルを取り出し撃つとヴァルキリーガンダムはビームシールドで防御する。

『あんた達こそ何のために戦ってるのさ?』

「俺たちは・・・・俺たちは大切な人達を守るために戦っているっ!!」

『やれやれ・・・・とん甘ちゃんだね・・・・失望したよ。そろそろ決着をつけようかな。』

ウォーズガンダムは動きを止め、予備のビームライフルも捨て、特殊ビームサーベルを構

える。ヴァルキリーガンダムもビームライフルを捨て、ビームランサーを両手で持ち、構える。

動き出したのは同時だった、両機ともまっすぐ全速力で突っ込む。

勝負は一瞬だった。

「・・・・・・さすがだな、シーサ。」

『当たり前でしょ、フフフフ♪僕は正義の味か・・・・。』

ウォーズガンダムはボディをビームランサーに貫かれ爆発した。

「マリア、損害は?」

「右腕喪失・・・・ファンネルシステム使用不可能。ブースターも機能停止で

す。ジョイントも不調をきたしています。」

「そうか・・・・。」

ヴァルキリーガンダムもウォーズガンダムの最後の一撃で右腕を切り落とされブースター

も損害を受けたため動けない状況になっていた。

「ノイン、二機のMSが接近中です。敵味方の判別ができません。」

「・・・・・・やはり今言っておこうかな。俺はお前が好きだ・・・・・結婚してくれ。」

「フフッ、結婚はできないでしょうけれど・・・・私もノインの事が好きです。」

『あ〜、無線をONにしたまま愛の告白しないでくれるかしら?丸聞こえで聞いている

こっちが恥ずかしいんだけど・・・・・。』

その通信とともにヴァルキリーガンダムが何かに掴まれる。

メインカメラで“何か”を確認するとそれはボロボロのブレードガンダムとエアガンダムだった。

『まったく・・・こんな所でラブラブになられても困るんでクレナイに一旦帰還しますよ・・・・はぁ〜タリィ〜〜〜』

ルドルフの声にノインは苦笑する。

「そうだな・・・・・そうしよう。帰ろう、俺たちの家へ。ミルズ・・・あとは頼むぞ。」

そして三機のガンダムはガンダム部隊の隊長に希望を託し、クレナイへと帰還していったのだった。

 

 

 

「くっ・・・・。」

スパイラルガンダムの大鎌を大型ヒートソードで受け止めるが、そのまま押し切られレク

イエムの中継地点の表面に叩きつけられる。

『ミルズ君、君の実力はそんなものかね?』

「まだまだっ!!」

クロニクルガンダムが一気にフルバーストして押し返し、掌底衝撃波発生装置でスパイラ

ルガンダムを吹き飛ばし追撃でビームライフルを三連射するがすべてシールドで防がれる。

クロニクルガンダムはそのままフルバーストで大型ヒートソードを構え突っ込み振り下ろ

すがスパイラルガンダムは避け、逆に横薙ぎに大鎌を繰り出すとクロニクルガンダムはシ

ールドで防ぐが、シールドが真っ二つに斬られてしまう。

不意にクロニクルガンダムはヒートソードを手放し、腕に残っている

斬られたシールドの半分を無理やり外しスパイラルに投げる。

投げたシールドはスパイラルガンダムのヘッドに直撃するが、同時にカウンターだとでも

言うかのようにスパイラルガンダムの大鎌がクロニクルガンダムの右腕を斬りおとす。

「ちっ!!だけど片手でもヒートソードは持てる!!」

『メインカメラなんて飾りだからな。問題ないね!!』

そして大鎌と大型ヒートソードで数合打ち合う。

「お前は金のためなら何でもやるのか!!」

『当たり前だろう、ミルズ君!!金があれば何でもできるのだよ。

他者より先へ、他者より上へ、他者より強く!!これを叶えるためには金が必要だ!!

それに、戦い・・・・俺は生死をかけたこの最高のステージが好きだしな。』

「金じゃあ手に入らないものだってある!!俺は守りたい仲間のために戦っているんだ!!」

『仲間?はっ、何を言っているんだねミルズ君?君も心のどこかで思っているはずだ!!

“戦いたい”、“楽しい”と・・・・・相手を倒して自分が生き残る快感を君は感じたいと思っているはずだ!!!』

クロニクルガンダムはビームライフルを撃つがスパイラルガンダムはすぐに回避し、腹部

中型ビーム砲を撃ちクロニクルガンダムのヘッドを破壊する。

クロニクルガンダムは関節部分などからも火花が出ておりボロボロになっていた。

スパイラルガンダムはビームライフルを取り出しクロニクルガンダムのコクピットをロックオンする。

『そろそろ終わりにしよう!!君と戦えて楽しかったよ!!』

「まだだ・・・・まだ俺は負けるわけにはいかないんだ!」

ミルズの頭の中にキッカの姿が過ぎり・・・・そして何かが弾けた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

クロニクルガンダムは片手で大型ヒートソードを水平に構え、フルバーストで突っ込んでいく。

『チッ!!』

スパイラルガンダムが腹部中型ビーム砲とビームライフルを連射し、肩、ボディ、脚部と

当てていくが損害など気にせずクロニクルガンダムは突っ込んでくる。

スパイラルガンダムは大鎌を取り出し、振り下ろすが・・・・・数センチの移動でクロニ

クルガンダムが避け・・・・大型ヒートソードが深々とスパイラルガンダムのボディを貫

く、そしてそのままレクイエム中継地点の表面に串刺しにする。

「はぁ・・・・はぁ・・・・・・。」

『やるねぇ〜ミルズ君・・・・さすがだよ・・・・ゴフッ。』

その言葉とともにスパイラルガンダムからの無線は途切れ・・・スパイラルガンダムは機能を停止した。

「はぁ・・・はぁ・・・まだ、まだやることがある。」

クロニクルガンダムはゆっくりと中継地点の中心へと移動する。

そしてミルズはクロニクルガンダムの自爆システムのスイッチを取り出しタイマーをセットする。

「脱出する時間を入れてタイマーかけると手遅れになる・・・・・。五分でいくか・・・。

フッ・・・帰れそうにないな・・・すまない、キッカ・・。」

自爆のタイマーをスタートさせようとしたその瞬間だった。

『先輩っ!!死なないで!!約束しましたよね、この戦いが終わったらデートするって!!』

通信に入ったのはキッカの声、そしてレーダーはケルベロスガンダムの接近を感知していた。

「キッカ!!なぜここにっ!?」

『先輩の考えなんて読むのは簡単です!!早くタイマーをスタートさせてこっちに乗り移ってください!!』

ミルズはタイマーをスタートさせ、コクピットの扉を開けて宇宙空間に飛び出る。

目の前にいたケルベロスガンダムのコクピットの扉もゆっくり開き、ヘルメット越しに嬉

しそうな泣きそうな顔をしたキッカが待っていた。

ミルズはケルベロスガンダムのコクピットに入り、宇宙服越しにキッカを強く、強く抱きしめる。

「脱出しよう。俺が操縦する。」

「わかりました!!」

ケルベロスガンダムは出力が下がっているブースターでゆっくりと動き出す。

それでも宇宙服で退避するよりも早く、そして脱出するには十分だった。

そして十分に中継地点から離れた直後・・・・・中継地点は爆発した。

「終わりましたね、先輩。」

「ああ、終わったな・・・・・そういえばさ、そろそろ名前で呼んでくれても良いんじゃないか?」

「あ、その・・・・・ミルズさん。」

「キッカ・・・。」

二人はコクピット内で強く抱きしめ合った。

宇宙空間を漂うケルベロスガンダムにクレナイがゆっくりと近づいてきていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

数年後

 

オーブ・・・・・・某基地

「エレル艦長、そろそろ会議だぞ。」

「え?ああ・・もうそんな時間ですか。今行きますよ、クルーガーさん。」

エレルは手に持っていた写真を机の中にしまい、書類を持ってクルーガーと部屋を出る。

「そういやぁ〜今日はあいつらと集まる日だったな。」

「ええ、ミルズさん達がプラントからこっちに来る日ですからね。楽しみです。」

クルーガーとエレルは窓の向こうの晴れた青空を見上げていた。

 

 

基地から数十キロ離れた民家の庭先にも青空を見上げる人がいた。ノインだった。

「空を見上げてどうしたんですか、アナタ?」

「いや、なんでもないよマリア。」

家から出てきてノインに声をかけたのはマリアだった。

ノインはヴァルキリーに繋がなくても良いようにマリアのボディを改造し、マリアの背部にあったコードは無くなり、より

人間に似ていた。

そして指にも変化があった・・・・指輪をつけていた。結婚指輪だった。

「そういや、パーティの準備はできたかい?」

「ええ、万事抜かりなく。おいしい料理作りましたから楽しみにしてください♪」

「おっ、じゃあ味見でも・・・・」

ノインがそう言った瞬間、マリアはノインの頭をポンッと叩いた。

「つまみ食いはだめです!!我慢してください!!」

 

 

 

 

「あぁ〜もう今日に限ってっ!!」

オーブ宇宙軍港から少し離れたデブリ郡・・・・・そこでは好戦派の軍人達が抵抗を続けていた。

「ほんとメンドクサイなぁ〜、カッタリ〜。」

十機近くの好戦派のジンに二機のムラサメが戦闘を繰り広げていた。

ムラサメを操縦しているのはエリシアとルドルフであった。

「今日はみんなと会える大事な日なんだから!!さっさと終わらせるわよルドルフ!!」

「うい〜す、エリシアさん。」

 

 

プラント発地球行きシャトル内。

「もうすぐだな・・・・・。」

「そうですね、アナタ。」

地球が見え始めたシャトルの窓を見ながら言ったミルズにキッカは頷いた。

「みんな元気ですかね?」

「だな、まぁ元気だろう・・・・・。でもみんな、驚くだろうな。」

そう言ったミルズの目線の先・・・・・キッカの腕の中には白いタオルに包まれた小さな

命が寝息を立てていた。

「フフフ、驚きますよ。だって皆さんに伝えてませんから。」

「なぁ・・・でもさ、俺心配があるんだが・・・・。」

「私もです。」

一間空けてから二人は同時に呟いた。

『あの人たち(あいつら)に会わせてこの子、悪影響受けないかしら?(受けないかな?)』

 

 

シャトルは地球へと向かっていった・・・・・。

 

 

 

END

 

 

あとがき

 

すいませんっ!!!!!

手探り状態で始めたイノセントですが、ガンダムファンに土下座で謝りたいです!!

ガンダムらしくないガンダムができてしまったと思います。

 

でも私にとっては結構修行になりました。

はじめと最後ではミルズの性格が変わってしまいましたヨ〜、初めのミルズはルドルフと同じナマケキャラでした。

でも書いていくうちに性格変えたほうが言いと思い、変えて、代わりとしてルドルフが生まれたわけです。

本当は本編キャラ、キラ、アスラン、シン、カガリ、ラクスなども出したいなぁ〜とは思っていたのですが

キャラを完璧に把握していないのでほとんど出せませんでした。

 

最後にこのこの場を借りてお礼を言いたいと思います。

キャラクターアイディアを提供してくださった桜葉さん、ヴァイパーさん、ありがとうございました。

キャラクターデザインをしてくださったdelta66さんありがとうございました。

これにてガンダムSEED INNOCENT完結です。

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!!!!!!!!!!

 

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