【ユンスク】:「・・・・・だよなぁ〜。」

【エンリ】:「ええ、・・・・・・・・・」

【シャオ】:「・・・・ん〜なにがあったんだ」

第9独立ユニット部隊の三人は食堂でテーブルを囲み何かを話していた。

そこにウィンが自動ドアの向こうから入ってくる

【ウィン】:「三人そろって何を話してんだ?」

【シャオ】:「おわ!!ウィン兄!」

【ユンスク】:「丁度いい、ウィンにも聞いてみよう。」

そしてシャオに引かれ無理やりイスに座らせられる。

【ウィン】:「オイオイ、何だよ〜。」

【エンリ】:「最近、さつきさんなんか変わってません?」

【ウィン】:「はぁぁぁ??何言ってんだお前ら?」

【シャオ】:「だってよぉ〜」

 

 

〜数時間前(シャオ談)〜

【シャオ】:「だぁぁぁ!!作戦会議に遅れるぅ〜アサコ司令官に殺されるぅ〜!!」

シャオは寝坊して一時間も作戦会議に遅れて会議室に全力疾走していた。シャオの目の前

に十字路が見えてくる。

【シャオ】:「あの十字路を右に曲がればぁ〜〜!!っていぃ!?」

十字路からさつきが出てくる。そして『急には止まれない』という訳でシャオは

さつきにぶつかってしまった。シャオはしりもちをついて倒れる

【シャオ】:「いてててて・・・・・・。」

いつもだったら冷たい目線でこっちを睨み何も言わずに通り過ぎていくさつきが・・・・

【さつき】:「・・・・・・・大丈夫・・・・・・?」

倒れたシャオに手を差し出した。

【シャオ】:「えっ!?ああ、ありがとう・・・・。」

そしてさつきの手を借りて起き上がったシャオにいきなり三枚ほどの紙を渡す

【シャオ】:「え〜と・・・・・これは?」

【さつき】:「もう会議は終わったわよ。それはあなたの分の今日の資料・・・・。必要でしょ?」

【シャオ】:「え・・・ああ、ありがとう・」

【さつき】:「じゃあ私は行くわよ・・・・。」

そして歩いて行ってしまった。

 

【ウィン】:「う〜ん、それは必要だったからやっただけで別に変わったことは・・・・。」

【エンリ】:「じゃあ私の場合はどうなんですか!?」

 

〜数時間前(エンリ&ユンスク談)〜

【エンリ】:「ふわぁぁあ・・・・ネムイですねぇ・・・・。」

まだネムイ目を擦りながら食堂で朝食をトレイに乗せ歩いていた。その背後に黒い影

【ユンスク】:「わっ!!」

【エンリ】:「わぁぁぁぁぁ!!」

いきなりの背後からのユンスクの大声に驚いたエンリは朝食の乗ったトレイを空中に投げてしまった。そしてその先にいたものは・・・・・・・。

【ユンスク&エンリ】:「あ・・・・・・・・・・・・・。

ユンスクとエンリが見たものは・・・・・・思いっきり牛乳やジャム、パンを頭にかぶってしまったさつきの姿だった。何時もだったら【さつき】:「情報型の方と指揮官がこれでいいのですか?もうちょっと落ち着いた方に代わったほうがよろしいのでは?」とか釘を刺すのに今日は・・・・・。

【さつき】:「今度からは気をつけてくださいね・・・・・?」

と言った。

 

【エンリ】:「ね?ね?変でしょ?」

【ユンスク】:「変だろ!?」

【さつき】:「何が変なんですか?」

ユンスク達の背後にはいつの間にかさつきが・・・・・・・。

【ユンスク&エンリ&シャオ】:「うわぁぁ!!なんでもない、なんでもない〜!!」

そして一気に食堂から出て行ってしまった。食堂に残ったのはウィンとさつきの二人だけ。

【さつき】:「・・・・本当にいったい何なの?人をお化けの様に・・・・。」

【ウィン】:「なんでもねぇよ、いつもの事だ、気にスンナ。」

【さつき】:「まぁいいわ。ちょうどあなたに話があるし。」

【ウィン】:「話?」

【さつき】:「あなたが言ったんでしょ、私がいつも気を張っているわけを聞きたいって言

ったのは?」

【ウィン】:「話してくれるのか?」

【さつき】:「別に隠したって軍のデータベースにアクセスすればわかる事だしね。」

そしてさつきは過去について話し出した。

 

 

あれはまだ会戦まもない時だったわ。私はある偵察部隊に所属していたの。

まぁ気の合う仲間もいて楽しかったわよ。厳しい訓練もあったけど協力して超えていたわ。

でもね、敵地に侵入したときに私ったらミスしちゃってね、敵兵に捕まっちゃったのよ。

もう死を覚悟したわ。仲間も助けに来るわけ無いと思ったし・・・・。

 

【ウィン】:「いや、仲間なんだから助けに来るだろう?」

【さつき】:「馬鹿ね、偵察っていう任務はね、捕まる可能性が高いのよ。だから仲間が捕

まった、殺されたは至極当然な事なの。それなのにわざわざ毎回仲間を助けに行ってたら

キリが無いでしょう?」

【ウィン】:「でも俺だったら何度でも助けに行くぜ!」

【さつき】:「そんなの馬鹿がすることよ・・・・・・。まぁそう言っちゃうと私の仲間だった人たちも馬鹿になるわね・・・・・・。」

【ウィン】:「助けに来たのか?」

さつきはコクっと頷いた。

 

 

私が捕まっていたのは敵の基地だった。牢のなかで私は歯に仕込んであった毒で自害しようと思った。その時やけに外が騒がしくなったの。そして鉄格子の入った窓をのぞいたら

仲間が塀に追い込まれている所だった・・・・・。

基地に進入して私を助け出そうなんてね、考えたらしいのよ。でも・・・・・・・・。

 

【さつき】:「私の前で殺された・・・・・私が捕まる前まで笑ってた顔をグシャグシャにして・・・・。」

【ウィン】:「・・・・・・・・。」

さつきは泣きながら胸にかけてあるペンダントを持ち上げる

【さつき】:「これはその仲間の一人が持っていた物・・・・・。」

 

そして仲間が助けに来たことから私は重要な情報を持っているのだと敵は勘違いしてもっ

と大きな基地に移される事になったの。私は移動中の護送車の中で涙を流し尽くした顔で

誓った。『もう仲間なんて作らない。その方が周りが私に巻き込まれる事もないし私自身が

こんなに悲しむ事も無い・・・・・。』って。

 

【さつき】:「あなたは私がいつもピリピリしてるって言うけど私は、あなた達を避けたか

っただけ、嫌われたかっただけ。私がまた捕まったときに助けに来ないように・・・。」

さつきは涙を拭いイスから立ち上がる。そして自動ドアから出て行こうとし、食堂から廊下に出たところで立ち止まった。

【さつき】:「ねぇ、私ってさ・・・・・。」

【ウィン】:「ん?」

食堂のイスに座ったままのウィンに静かに問いかけた。

【さつき】:「みんなが言うように・・・・・・私は変わったのかしら?」

ウィンはフッと笑い言った

【ウィン】:「昔の・・・・いや、本来のお前に戻っただけだろ。」

【さつき】:「そう・・・・・・・。」

そしてプシュという音と共に廊下と食堂を遮る自動ドアが閉じた。 第七話へ

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