第三話

 

 

【シャオ】:「ん〜すっげぇ暇〜」

町のベンチに座りつつシャオが言う

【ウィン】:「プハァ〜、しゃ〜ないじゃん、

ココに住人が人っ子一人いない状況なんだからさぁ〜」

ウィンが街灯にもたれかかりつつタバコを吹かす。

 

そう、増援部隊との模擬戦三日後、軍の盛大な送迎を受けユンスク達は第一目標のサハリ

ンに向かった。航路は順調、敵の妨害も無く揚陸地点まで潜水艦で潜航し、揚陸部隊のユ

ンスク達が【神兵・M】に乗り強襲揚陸したのだが・・・・予想したサハリン守備隊の攻

撃が無くあっさり揚陸できてしまった。それだけではなかった・・・・・。その後町まで

進行したのだが・・・・・・・そこには人はおろか生き物一匹いないゴーストタウンと化

していた。

 

シャオが疲れた表情でいう

【シャオ】:「まったくどうなってんだよこの町は・・・・・、ねずみ一匹もいやしない・・・・!」

ウィンはタバコを地面に捨て火を踏み消す

【ウィン】:「さぁ〜な、白人のことはよくわからないしな・・・・・。」

【ユンスク】:「ふむ、それで調査もせずタバコを吹かしていただけというわけか・・・?」

【ウィン】:「うおっ!お前、気配なく近づいていきなり声をかけるなよ!!」

驚いたウィンの後ろにはいつの間にかユンスクが立っていた。

【ユンスク】:「ふわぁぁあ・・・・・、別に気配を消しているわけではないのだがな・・・・

このナマケモノ。最近戦闘していないから感覚が鈍ったんじゃないのか?この

ナ・マ・ケ・モ・ノ。

アクビをしつついやみを連発するユンスク。ウィンは眉間をヒクヒクさせつつシャオに尋ねる

【ウィン】:「なぁ、いますぐコイツに俺のユニットのミサイルを全弾ぶち込んでいいか?

こいつマジで殺りたいんだけど・・・・・・・。」

【シャオ】:「うんうん、気持ちはわかるけど、この超捻くれで自己中の大馬鹿

大尉に何やっても無駄だと思うぜ・・・・・・」

【ウィン】:「確かにそうだな・・・・・。グホッ!!

見るとシャオの意見に頷いたウィンの脳天に腕を組んだままのユンスクの踵落しが見事に入っている

【ユンスク】:「そこで俺以上の超大馬鹿のガキの意見に頷くな、この超ド

級ナマケモノ。」

【ウィン】:「ダァ〜!ナマケモノ、ナマケモノってウダウ

ダうるせえ〜!!お前こそなんかこの町について収穫があったのかよ!!」

ユンスクはくるっとウィンとは逆の方向の五階建てのマンションを指差し言った

【ユンスク】:「フッ!俺がそんなことやる分けなかろう。俺はあのマンションの屋上でグ

ッスリ昼寝をさせてもらった。調査なんぞお前らのような奴がやるだけで俺はやら・・・・・

ん?どうした?」

ウィンとシャオは下を向きつつワナワナと震えている

【ウィン】:「お前が一番なまけてるんじゃねぇのか?えぇ!!」

【ユンスク】「何を言う、さっきも言ったが調査なんぞお前らのような奴がやる・・・・っ

ておいウィン、その握り拳はなんだ・・・・(汗)なんでおれの目の前まで来る?ちょっと

まて!シャオはなんでベンチを持ち上げているんだ?まさか・・・・・・・ちょっ!ちょ

っと待て!待てって・・・(滝汗)」

【ウィン】:「てめぇが一番の怠けもんじゃねえかー!!それなのに散々俺のことをけなし

やがって!!死んで償え!この大ボケ大尉!(右ストレー

ト)」

【ユンスク】:「グホッ!」

ウィンのパンチで吹っ飛んだユンスクの前に引きつった笑いを浮かべるシャオがベンチを

持ち上げ立ちはだかる

ユンスクは汗を大量に掻き首をひっきりなしに左右に振りつつ

【ユンスク】:「シャオ待て!それはマジで死ぬ、死ぬぞそれは。」

【シャオ】:「フフフフ♪殺すくらいじゃだめだ!!何が何でも地獄に叩き落

す!(ベンチで右にふっとばす)」

【ユンスク】:「ギャァァァァァァ!!(吹っ飛び近く

の家の壁に衝突)」

その後シャオとウィンの怒りが収まるまで10分間、ユンスク恐怖の叫びが続いた。

 

 

10分後、ウィンはタバコを取り出そうとし、シャオはベンチを元の場所にユンスクは・・・

【ユンスク】:「グフッ!ハァハァ・・・・・・で・・そっちも収穫が無かったと?そうい

うわけだな?(傷だらけで息絶え絶え)」

と肩ひざをつきつつ言う。タバコに火をつけながらウィンは頷く

【ウィン】:「ああ、そうだ。人っ子一人いやしない。どうしちまったんだぁ、この町は?」

【ユンスク】:「イツツツツ・・・・それについては予想がつく・・・・・・。」

【シャオ】:「ふ〜ん、本当かなぁ〜さっきまで寝ていた男がねぇ〜(厳しい目線⇒ユンスク)」

【ユンスク】:「あぁ、これはほぼ間違えないだろう・・・・・。」

タバコの煙を思いっきり吐きつつ

【ウィン】:「ふぅ、で、ユンスクの考えってのは?」

【ユンスク】:「簡単に言えば“労働力の確保”だろう。」

【シャオ】:「労働力?」

【ユンスク】:「そうだ。国にとって住民の数は単純に労働力につながるからな・・・・

攻められて勝てない場所に住人を残していくのはもったいないだろう・・・・・まぁでも

それは住民を避難させられる移動手段があればの話だがな・・・」

そこにエンリのユニット【神兵・M】が走ってくる

【ウィン】:「おっ?エンリのユニットじゃねえか?普通に徒歩で調べりゃ〜いいのに。」

ドンドンとエンリのユニットが近づいてくる

【シャオ】:「急いで移動しているんじゃねぇの?ってかスピード早過ぎない?」

エンリのユニットが近づいてくる。

【ユンスク】:「あれは・・・・俺達が居るのに気づいていない様子だな・・・」

ユンスクの言葉通り、スピードを落とさず走ってくる

【シャオ】:「オイオイ、マジかよ・・・・・ってやべぇ〜突っ込んでくるぞ!!

ゴフッ!(道の右にジャンプ、避けた勢いで壁に頭から激突)」

【ウィン】:「逃げろ!ガハッ!(左に避けようとして電柱に気づか

ず激突)」

ユンスクだけはその場を動かない。そしてユニットMはユンスクの目の前ぎりぎりで止ま

った。そしてユニットのコクピットからエンリが急いで出てくる

【エンリ】:「皆さん、大変です!・・・・・・・・・って」

シャオが壁に、ウィンが電柱にぶつかって倒れているのを見てエンリは一言

【エンリ】:「なんですか?この状況?」

【ユンスク】:「気にしなくていい。超大馬鹿超ナマケモノに鉄槌が下っただけだ。」

【エンリ】:「はぁ〜あんまりこの状況がよくわからないですが・・・・・・」

【ユンスク】:「だから気にするな・・・・・・、で大変と言うのは?」

【エンリ】:「え!?ああそうですよ!!港に一隻も船が無いんですよ!!軍艦から漁船ま

ですべて・・・・・・・・。」

【ユンスク】:「ふむ、予想通りだな・・・・・・・。」

【エンリ】:「?」

【ユンスク】:「後で話す、一旦、潜水艦の所に戻るぞ。帰還する。」

【エンリ】:「え〜と・・・・・。」

エンリはシャオとウィンをも一度見返し、

【エンリ】:「この二人はどうするんですか?」

【ユンスク】:「ん〜・・・・・・・・置いていく、放置していく、捨てていく。

【エンリ】:「わかりました。」

【ユンスク】:「すまないが、俺のユニットが置いてあるところまで送ってくれるか?」

【エンリ】:「いいですよ。じゃあ乗り込んでください。」

そしてユンスクはエンリと一緒にエンリのユニットに乗り込み去っていく。

【ウィン&シャオ】マテやゴラァァァァァァァァァァァ!!」

無人の街に復活した男二人の声がむなしく響いた・・・・・・・。

第四話
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