バッドラック 〜another skill〜
第二話
呉上空・・・・・多くの戦闘機が出撃し落とし落とされ激戦を繰り広げていた。
「アレス中尉、2時の方向に敵機!!」
「OK。ミサイルフォックストゥー!!」
道化師のエンブレムの入ったF−4E戦闘機が敵EM軍戦闘機をミサイルでファイヤーボールに変えた。
アレスと呼ばれたF−4Eのパイロットはニヤリと笑い操縦桿をにぎりったままで後ろを向く。当然操縦席の背もたれで副座は見えない。
「フフン♪ドンドン行くよ桜花♪」
「後ろ向かないで前見て先頭に集中してください!!それとちゃんと階級をつけて呼んで下さい!!」
副座からの凛とした女性の声にアレスはため息をつき目線を前に戻す。
「はいはい、桜花少尉・・・はぁ、お堅いねぇ〜。」
「中尉が緩すぎるだけです!!しかも何でこのご時世に旧式のF−4Eに乗らなきゃいけ
ないんですか!?」
「知るかよ、自分の機体が空爆でオシャカだから副座に乗せろって言ったのは少尉でしょ
うが。結構クセがあってかわいこちゃんなんだぜ、この機体。よっと!」
前方から来るEM軍戦闘機をすれ違いざまに機銃で撃ち落しながらアレスが言う。
「あとこのむちゃくちゃな機動何とかしてください!!一時と十一時から一機ずつ接近。」
「はいはい、一時の奴から行くよ!」
一気に加速し敵機に接近するF−4E、そして敵機の機銃を避けて敵機と交差し、そのま
ま急上昇し高度を上げると背後から敵機がついて来る。
「いくぜぇ〜。」
「え?行くって・・・ちょっとあれやる気ですか!?キャアァァァァ!!」
ある程度高度を上げたF−4Eは旋回しながら螺旋状に急降下するスパイラルダイブと呼
ばれる機動をして急降下。そして操縦桿を引き再び急上昇。まだ上昇する態勢から戻って
ない敵機の後ろにつき機銃で蜂の巣にする。
「よっしゃぁ!!」
「よっしゃぁじゃないですよ!!まだ一機残ってます。六時・・・背後です!!」
アレス機と敵機はしばらくシザーズと呼ばれる互いに敵機に向けて旋回し相手を前方に押
し出す機動をするが再びアレス機は敵機に後ろを取られてしまう。
「こなくそっ!!」
今度はハーフロールで敵機を引き離そうとするが相手はぴったりくっ付いてくる。
「警報!!ロックオンされてます!!中尉っ!?」
その時だった、後ろについていた敵機にどこからかミサイルが飛んできて敵機を落とす。
『今時F−4Eが飛んでるなんてビックリだわ。』
『そうですね、俺資料でしか見たことありませんでしたよ!!』
その通信と共にF−4Eの横に二機の黒い鷲のエンブレムの入ったF−22と同じエンブレムが入ったF−35Bが並ぶ。
「うるせぇ〜なぁ〜、俺の愛機に文句言うなよ。」
「うるさいのは中尉です!!申し訳ありません、助かりました。貴方方は?」
『現在横須賀に寄港している空母【ロシナンテ】所属戦闘機隊【ブラックバード】隊長ケ
ン・ナカタ大尉だ。他の隊の戦闘機も引きつれ援護に来た。』
『同じくラン中尉よ。』
『ビオシー准尉です。』
「私は呉基地所属・・桜花少尉です、今はナビをやっていますが通常はパイロットです。」
「俺はアレス中尉でこのF−4Eのパイロット。」
そんな通信をしている間にレーダーが敵戦闘機の第二波を伝える。
『自己紹介ものんびり出来ないようだ・・・・・ブラックバード1ヘッドオン!!』
F−35Bが速度を上げ敵戦闘機第二波に向けて突っ込んでいくとF−22二機も続いて突っ込んでいく。
「行くかな。」
「なっ!?中尉、あの数を相手にこの機体で行くんですか!?第一波を退けられたとはいえコチラの戦力は消も・・・・キャっ!」
「クラウン1・・・・ヘッドオン!!Here We Goooooo!!!!」
「もうイヤァァァァァァァァ!!!」
桜花の嘆きの声がコクピットに響く中アレス機も加速し第二波に突っ込んでいった。
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