バッドラック 〜another skill〜

バッドラック 〜another skill

 

 

第三話

 

 

呉上空・・・・ケン機、F−35Bのレーダーが上空からの敵機の接近を知らせる。

「こなくそっ!!」

機体を捻り、接近してきた敵機の機銃を回避する。

「チッ、制空権がどうなってるかもこの中じゃわからん!きつい渋滞みたいだ・・・・まったく。」

第二波の的戦闘機軍との戦闘区域(コンバット・エリア)に突入した直後、ラン機やビオ

シー機、アレス&桜花機とはぐれてしまったのだった。

「弾薬も心細くなってきたな・・・・このっ!」

ループで後ろについていた敵機のさらに後ろにつき、機銃で敵機を落とす。

「無線も錯綜しているし・・・・・・ってまた敵機か・・・。」

後方警戒レーダーが二機の敵機の接近を伝えていた。ケン機は一気に高度を上げる。

ジンキングと呼ばれる回避機動をして雲の中に逃げ込む。

「さて、行くか・・・。」

素早い機動で雲から出て敵機の一機の後ろにつきミサイルを撃ち墜落させる。

その時だ、アラートと共に凄まじい振動がケンを襲い、コクピット内の様々な計器が異常を知らせていた。

「チッ、油断した・・・!!動力系オールレッド・・・・・クソッ、巡航速度出せるかどうかか・・・・。」

ケン機に敵機のミサイルが当たりアフターバーナー付近がもぎ取られたようになっていた。

幸い飛行は出来るものの速度を出せるわけもなかった。

帰還して整備しなくてはいけない所だがケン機が飛んでいるところは戦闘空域・・・・簡単に逃がしてくれるわけもなかった。

すぐに後方に敵機がついたことをレーダーとアラートが知らせる。

「・・・・・クソッ!!」

機体が軋み、いつ失速するか分からない恐怖と戦いながらループをして敵機の後方を取ろうとする。

そして何とか敵機の後ろを取るが敵機は一気に速度を上げ、距離を取りハーフループでケン機の真正面に機首を向けて突っ込んでくる。

「早撃ちか・・・・・・やってやる!!」

そして敵機と交差する瞬間、機銃が火を噴き・・・・・、カンカンカンと鈍い音がケンの耳に聞えた。

その音を聞いたケンはすぐに座席横にあるレバーを引きベイルアウト(脱出)する。

そして脱出した直後ケンのF−35Bが爆発し墜落していく。

そしてパラシュートを操りながら後ろを振り向くと先ほどケン機と交戦した敵機も煙を上げて山の中に墜落していく

のが見えた。

ケンはすぐに視線を自分の下、地上に向けるがそこはいつの間にか山林で下りれる場所がなかなか無かった。

「クッ!!」

ケンはそのまま森の中に突っ込んでいく。枝を折りながらしばらく飛んだ後パラシュート

が木に引っかかりケンは宙吊り状態になる。懐から携帯用の小型ナイフを取り出しパラシ

ュートを体から切り離し地面に着地する。

周りを見渡すと木々が立ち並び、上空からは戦闘機の爆音が聞えていた。

「軍港は・・・・。」

携帯用のGPSを取り出し基地の位置を確認したケンはゆっくりと歩いていく。

しばらく歩いていると木々の間に黒い物体が見えてくる。

「あれは・・・・・最後に相討ちしたEMの機体か・・・・?」

機体の形は綺麗な三角形をしていて、何もかも吸い込むような黒い色をしていた。

ケンは銃を取り出し、残弾を確認して構えながら近づく。

煙を上げていて動く様子は無かった。ケンは銃を持っていない方の手でEMの戦闘機のボ

ディを触ると戦闘機のボディとあまり変りは無かった。

「俺たちの戦闘機と構造的には変りは無い様だが・・・・ん?」

EMの機体を見ていると戦闘機のコクピットと同じ場所にスイッチの様なものがあった。

ケンは一回深呼吸し、意を決したように銃を構えスイッチを押す。

「これは・・・・。」

ゆっくりとコクピットの様なものが開き、その中から現れたのは目を瞑り整備員の作業服

の様なものを着た白い長髪の少女・・・・

「この少女がEM?」

ケンはそう言いながら近づいた瞬間、少女はいきなり目を開け起き上がり周りを見回す。

しばらく見回した後で首を捻った。どうやら自分がどうしてこんな所にいたのかつかめて

いないようだった。そしてやっとケンの事に気づき立ち上がる。

とっさにケンが銃を構えると少女は焦ったように首を横に振り自分の服を指差し何かを言

う。しかし少女が話している言葉は英語や日本語・・・いや地球上、どの国でも使われていない、誰も知らない言語だった。

ケンが首を捻ると少女は思い出したように手を叩き今度はネジをドライバーで機械に差し込むような動作をする。

ケンはその行動に何かを気づき懐から一枚の写真を取り出す。

その写真にはビオシーやランの他、銃を持った警備兵や整備兵も仲良く写っていた。

ケンは写真を少女に見せ、銃でまず警備兵を指すと少女は首を横に振る。

次にランを指差すが少女は首を横に振る。最後にスパナを持った整備兵を指差すとパッと

笑い首を縦に振る。

「つまり君はEM軍の整備兵で非武装で、非戦闘員と言いたい訳だ。」

ケンがそう言うが通じるわけも無く、再び不思議そうに首を捻った。

“危険性はなさそうだ”

そう思ったケンだったがまた新たな問題が頭をよぎった。このEMの少女を捕虜として

基地に連れて行くべきか・・・・いや、少女が素直に基地に来てくれるか・・・・。

「はぁ〜〜〜〜。」

ケンがため息をつくと不意にパイロットスーツが引っ張られる。

振り向くといつの間にかそばに少女が立っており笑いながら自分を見上げていた。

「心配する必要はなさそうだな、」

EMの戦闘機墜落地点である今時分がいる場所を携帯端末に入力し終えたケンは

出来うる限りの優しい笑顔を少女に向け、手を差し出す。

少女はニコリと笑いながらその手を握った。そしてケンはEMの少女を連れながら

GPSを頼りに歩き出した。

 

 

数時間後・・・呉基地に到着したケンと少女だったが戦況は相当悪化しており基地もかなり

のダメージを受けていた。全軍が撤退を始めており基地から兵たちが逃げ出していた。

ケンは適当に兵を捕まえる。

「おい、戦況は?」

「戦闘機はほとんど落とされてもう基地の守備もほとんどやられちまったから基地司令が

撤退命令を出したんだよ!!戦闘機隊はとっくに横須賀基地に撤退しちまった!!

離してくれ、俺死にたかないんだよ!!!」

ケンが離すと兵は一気に走っていった。しかしEMの戦闘機による爆撃が始まったらしく

地上からの脱出は不可能に近いとケンは睨み、あたりを見回す。

すると一つの格納庫が爆撃の被害を受けていないのを見つけて少女を引っ張りながらその格納庫に向かう。

「ジャギュアか・・・・・ないよりましかな・・・、乗れ!!」

ジャギュアはイギリスとフランスが共同開発をした戦闘機で低空侵攻を得意とする機体だ。

少女を後部座席に乗せ、すぐに動かし始める。タキシングで移動しながら機銃で格納庫の

扉を破壊し外へと出る。

「かぶられないことを祈るだけだな・・・・。」

なんとか運良く滑走路は飛べないほどの損傷はなかった。

「すこしGが辛いぞ!!」

言葉が分からないのだから言っても無駄なのだが思わずケンは言ってしまう。

そしてフルスロット、アフターバーナーが火を噴きジャギュアはドンドンと加速しやがて高度を上げる。

「なんとかかぶられなかったな・・・・だが、ここからが本番だ。」

ケンは後ろで驚いたように何度も瞬きしている少女を一瞬見た後正面を向いて操縦桿を握り締めた。

 

 

第四話

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