バッドラック 〜another skill〜

バッドラック 〜another skill

 

 

第四話

 

 

 

「チッ、振り切れるか!?」

基地を脱出してからケンの乗るジャギュアは海面ギリギリを高速で飛行していた。

上からは3機の敵機が追ってくる。ケンは忙しく操縦桿を動かし敵機の機銃を避ける。

「ジャギュアは低空侵攻時の安定性はぴか一だ・・・当たるわけがない!!」

そう言って後ろの副座を見る。EMの機体に乗っていたとはいえ戦闘機に初めて乗るだろ

う少女の様子を見るためだ・・・・。

すると少女はヘルメットを外して何か小型の機械を耳につけていた。

「おい、ヘルメット外してなにやってるんだ!?危ないぞ!!」

しかしケンの言葉がEMである少女に伝わる訳も・・・・・・・

『大丈夫ヨ、スグ被リ直スデス!』

「ならいいが・・・・・・・っておいっ、なに普通に話してんだ!?」

『オ、翻訳機正常。ヨカッタヨ〜。』

いきなり言葉が通じる事に混乱しているケンを尻目にマイペースな少女はヘルメットを被り直す。

「翻訳機をつけていたのか?」

『自動翻訳機、トッテモ便利♪持ッテテヨカッタヨ〜♪ソレヨリ“キリエル”ガ来ル、早

ク避ケル方ガイイ〜』

「キリエル?」

少女がそう言い、ケンが首を捻った直後、低空を飛ぶジャギュアの上から敵機の機銃が降り注ぐ。

「チッ、あの戦闘機のことかっ!だがそう当たりはしないさ!!」

そう、低空を飛ぶ戦闘機に機銃を当てようとするとどうしても高度の高い所から海面に機

首を向ける形になるため海面に激突する可能性を考慮し積極的に攻撃できない。逆に低空

で飛ぶ戦闘機も気流などの関係で凄まじく安定性を奪われるため、海面に激突する可能性

が高くなるためかなりの腕を必要とするのだ。

「だが、そろそろさばき切れなくなって来たな・・・・チッ、敵機の増援か?」

レーダーが右真横、三時の方向から数機の接近を知らせる。

『キリエル、違ウ・・・・コノ兵器ト同ジ・・・・コノ機械ガソウイッテルヨ。』

ケンに見えているわけではないが少女は副座にあるレーダーを指差して言う。

「お前、使い方分かるのか?」

『モチロンヨ、私達ノ技術力、アナタ達ノ技術力ヨリ遥カニ高イ♪分カルノ当然♪』

ケンは少女の発言に引っかかる部分があるが気にせず機首を接近中の三機の味方機の方へ向ける。

するとジャギュアを追跡していた敵機も追ってくる。

ケンは接近中の味方機に通信を繋ぐ。

「こちら、第七艦隊旗艦空母ロシナンテ所属戦闘機隊隊長、ケン大尉だ。敵機に追跡を受

けている、救援を求む。」

するとすぐに味方機から通信が入る。

『了解、大尉。こちら第八艦隊空母アルケミス所属戦闘機隊・・・閻(エン)大尉。

こちらも撤退中につき弾薬、燃料共に心もとない。敵機数によっては救援不可能。

敵機数を知らせよ。』

「敵機は3機・・・・ほかにはレーダー、目視でも確認できない。」

『了解、このままコチラに飛行せよ。レーダーに捉えると同時に敵追跡機に攻撃を仕掛ける。』

「協力感謝する!通信終了。」

そして敵機の攻撃を何とか避けつつ飛行を続けていると目視で前方から戦闘機が3機見え

てくる。その3機が最後だろう空対空ミサイルを発射する。それに気づいた敵追跡機は散

会するが間に合わずミサイルの餌食となり墜落した。

「お見事、助かったよ!ありがとう!!」

『困ったときはお互いさまだ、帰還は横須賀基地でいいのか?』

「そうだ、そちらの編隊に合流させてもらう。」

『ああ、かまわない。さっさと帰ろう。通信終了。』

そして閻と名乗ったパイロットの指揮する3機編隊の戦闘機隊に合流する。

閻の編隊の機体は全てJAS39グリペンと呼ばれる先尾翼とデルタ翼を組み合わせたス

ウェーデン、サーブ社の戦闘機であった。

ケンはため息をついた後、副座に座りGなど全然気にした様子も無い少女に声をかける。

「俺はケンって言うんだ。君の名は?」

『私ハ・・・・“アルフィード”・・・【アル】でイイヨ♪』

 

その後グリペン3機とジャギュア1機は追跡機に見つかる事も無く横須賀基地へと飛行を

続けたのだった。

 

 

 

第五話

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