バッドラック 〜another skill〜

バッドラック 〜another skill

 

 

第五話

 

 

 

「私達ハ、艦長サンノ言ウトオリ太陽系外カラ来タヨ・・・・。」

第七艦隊旗艦空母ロシナンテ艦長室、そこには艦長であるウィルクス、そして命からがら

帰還したケンとアルだった。

戦況は最悪で呉基地は壊滅、第七艦隊も増援として呉に送り込んだ戦闘機隊の大半が帰還

できなかった。敵は呉軍港の破壊が目的だったらしく目的を達すると撤退して行ったそうだ。

横須賀基地で閻の編隊と分かれロシナンテに着艦すると運良くランやビオシーは生き残っ

ていて帰還していたのを見つけたケンは少し気が楽になった。

アレス&桜花のF−4も横須賀に退避したらしく、ケンはアレスに肩を叩かれ“小さい彼

女連れてご帰還か♪”とチャカされた。

他にもケンの帰還を喜んで整備員などがケンの周りに集まってきたが、ケンはそこそこの

所で切り上げ、アルを連れ報告のため艦長室に向かい現在に至る。

「私達ハ寿命ヲ迎エタ母星カラ移民船デ脱出シタノハ数十年前ヨ。ソノ移民船ハ自動航行。

乗リ込ンダ仲間ノ数ハ数千万・・・・ソノホボ九割ハ、【コールドスリープ】シテイタヨ。

私モ眠ッテイタ・・・。」

「ふむ、では残りの一割は?」

ウィルクスの言葉にアルはさらに説明を続ける。

「自動航行トハ言ッテモ故障ハツキモノダカラ・・管理者ガ数人イタ。順調ニ航行シテイタ

ラシイケド、コノ星ノ近クデ異常ガ発生シテコノ星ニ落チタ。コールドスリープシテイタ

仲間モ、管理者モ沢山死ンダ。」

「だがこちらも一国が一瞬で滅んだんだぞ!!」

ケンが思わず叫ぶとアルも立ち上がり目に涙を溜めながら叫ぶ。

「ソレハ違ウヨ!!!移民船ガ落チタケド管理者のミンナガガンバッテ制御シテ、確カニ

被害ハアッタケド町半分位ノ被害ニオサエタッ!!ソノ墜落デ生キ残ッタ仲間ハスグニ船

カラ出テ地球人ノ救助シテイタ・・・・私ハマダコールドスリープカラ目覚メタバカリデ救助

ニ参加デキナカッタ・・・・。」

ウィルクスは懐からシワだらけのハンカチを取り出しアルに渡す。

「しかし衛星写真を見ると君の言う移民船を中心にアメリカが完璧に滅んでいたが・・・。」

アルはウィルクスから借りたハンカチで涙を拭いた後、鼻をチーンと音を立ててかむ。

「イキナリ遠クカラ細クテ大キナ物ガ飛ンデキテ・・・パッテ光ッテ・・・ソノ後スゴク船ガユ

レテ・・・ソノ後外ヲ見タラ・・・・・ナニモ無クナッテイタ・・・船ノ外デ地球人ノ救助ヲシテイ

タ仲間モ居ナッテイタ・・・・。」

「・・・まさか・・・・核・・?」

「ワシもそう思った。しかし、しかしだがな大尉。そんなこと移民船の落下を知っていな

いと核を撃つなど不可能だ。アメリカもまだろくに調査もしない状況で核を撃つはずがない・・・・。」

ウィルクスとケンが悩み、口を閉ざすとアルはコーヒーを一口のみ苦そうな顔をする。

それに気づいたケンは砂糖ビンから砂糖を一すくい取り出しアルのコーヒーに入れてやる。

「ほら、これで飲んでみろ。」

「うん・・・・・・・・あ、苦くない。」

砂糖入りのコーヒーを気に入ったらしくアルは一気に飲み干し、“ふぅ”と一息つく。

「マダ話・・・続キガアルヨ・・・・。」

「そうか・・では話してくれんかね?」

いきなりアルはコップをウィルクスに物欲しそうな顔をしながら渡す。

ウィルクスは苦笑し、近くに居た仕官にコーヒーを注いで来るように伝える。

「船ノ中ニイテ生キ残ッタ仲間達ハ二ツニ分カレタヨ。地球人ニ報復シヨウトスル仲間ト

話シ合ウノガ先ダト言ウ仲間・・。」

つまり交戦派と慎重派だ。そして交戦派の意見が通ったというわけだ。

一通りアルが話し終えると、ちょうど仕官がコーヒーを持って現れるとアルはコーヒーに

砂糖を入れ飲み始める。ケンとウィルクスはその姿を視界の端に捉えながらも話を続ける。

「どうします、艦長?」

「とりあえずワシの古い知り合いに連合軍監査部所属の奴が居るから調査を頼んでみよう。

この穣ちゃんは大尉・・・君に任せる。」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ!!なんで俺が?」

「お前が穣ちゃんの乗る機体を落として連れ帰ったんだろうが・・・責任とれよ。」

そう言ってウィルクスは机の上にある衛星電話で通話を始めたため、ケンは諦めたように

ため息をつき、これからに不安を感じながら美味しそうにコーヒーを飲むアルをしばらく見ていた。

 

 

アメリカ大陸・・・EM移民船内。

 

管制室の席に白髪の若い男が座っている。

その男の前にはもう一人男が居る。

白髪の男が口を開く。

「アクリサ、状況は?」

「ハッ、地球人の生存艦隊の拠点と思われる基地を強襲・・・破壊しました。

支配地域も順調に広げています。それと・・・・・・・」

アクリサと呼ばれた男がバツが悪そうに言葉を途切れさせると、白髪の男がため息をつく。

「それと・・・・・・なんだ?」

「その・・・・アルフィード様の行方がわかりません。キリエルの整備をしていた姿を目撃さ

れたのが最後です。検索しましたが見つかりませんでした。」

「世話のかかる妹だ・・・放って置け・・・・。」

「しかし・・・。」

「聞えなかったか?放っておけ・・・・・。」

「は・・・ハッ、その様に・・。」

口答えしようとしたアクリサだったが白髪の男の殺気を帯びた視線で黙り込み、お辞儀を

して管制室を出て行く。

「お前は何がしたいんだ・・・・アル。」

白髪の男は外部カメラが写す外の状況を映し出すミニターを見つめながらそう呟いたのだった。

 

 

 

横須賀基地・・ロシナンテ通路

 

ケンは隣を歩くアルに視線を向けずっと気になっていた質問をしようと口を開く。

「なぁアル・・・・。」

「ナニ?」

「そういえば何故・・え〜と・・・キリエルだったか?・・そのキリエルの中に居たんだ?

アルは整備員なんだろう?」

「アア、ソレネ・・・・。整備シテタラ寝チャッテタヨ・・・起キタラ目ノ前ニケンガイテ、ビッ

クリシタヨォ〜テヘッ♪」

その瞬間、ケンは盛大にコケた・・・・・・・。

「な、なるほど・・・だからビックリしたって訳だな。」

「他ニモ理由アルケドネ・・・・。」

「え?」

「ナンデモナイヨ。ソウイエバ私ノ乗ッテイタキリエルハ回収シタ?」

ケンは“そういえば”と思い出したように口を開く。

「確かちょうど横須賀基地に運び込まれたと聞いたな・・・・。行ってみるか?」

「ウン♪私ガ行カナイト・・・キット“レギンレイブ”が駄々コネテイルト思ウシ・・・。」

「レギンレイブ?何だそれは?」

「キリエルハ操縦スル生物ハ必要ナイ、AIニヨル自動航行ダヨ。私ガ整備ヲ担当シテイ

タキリエルノAIノ名前ガ“レギンレイブ”ヨ。」

「つまり俺達は機械と戦っていたというわけか?」

「ソウイウ事ニナルネ・・・・・。私達、地球人ニ比ベテ数ガ少ナイ・・・AIニ頼ルシカナイノ・・・・。」

悲しそうに話すアルを見ながらもケンはやるせない気持ちになった。

こっちは家族、恋人、大切な人を残し戦いに出て散っていくのに対してEMは壊れれば生

産すればいいのだ・・・。

そんなことを考えるケンの険しい顔を見てアルは不安そうな顔をしながらも意を決したよ

うに口を開いた。

「ケン・・・頼ミガアルノ・・・・。」

「なんだ?」

「兄ヲ・・・・交戦派ノ指導者ノ兄ヲトメテホシイ・・・・・・。」

アルの言葉にケンは目を見開いて驚いた・・・・。

 

 

 

第六話

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