バッドラック 〜another skill〜

バッドラック 〜another skill

 

 

第六話

 

 

基地の格納庫へ向かう廊下を歩きながらケンは横を歩くアルに話しかける。

「そうか、アルの兄さんが指導者だったのか・・・。」

「私ハ一生懸命止メタヨ・・・デモ兄ハ止マラナカッタ・・・・・・。」

「妹の言葉を聞かないとは相当だな・・・。」

「父様モ母様モ救助デ外ニイテ死ンジャッタ・・・・ダカラ兄ハ仇ヲトリタインダトオモウ・・・。」

「すまない・・・。」

無粋にも辛い事を聞いてしまったケンが謝るとアルは苦笑する。

「気ニシテナイヨ。」

「でも、アルは仇を討ちたいとは思わないのか?」

「・・・・・・・ソウ思ッタ時期モアッタ・・・、デモ母様ガ“誰とでも仲良くしなさい”ッテ言ッテタカラ・・・・・。」

「そうか・・・・いい母親だな。」

ケンがアルの頭を撫でてやるとアルは子猫のようにケンの腕に嬉しそうに抱きついてくる。

ケンは顔を赤くしながらも笑うとパサッと何か紙を落とす音がする。

ケンの目の前にはビオシーとランの姿。ビオシーは悲しそうな視線をケンに向け、

「大尉、ロリコンだったんですね・・・・・見損ないましたぁぁぁぁ!!」

そう叫んで止めるまもなくビオシーは走り去っていく。

そしてビオシーとは逆にランは何か面白いことでも思いついたかのようにニヤリと笑い、

どこからか取り出した紙ふぶきを振り撒きながらバンザイをする。

「ホホホホホ、私の上司がロリコンだと言う面白いネタを噂好きの女性仕官達に伝えまく

らずにはいられますかぁ♪」

「ちょっと待て、中尉。俺はロリコンなんかじゃ・・・・・。」

ランは回れ右をしてカール・ルイス並みのスピードで走り去る。

基地中の兵にケンがロリコンだという噂が伝わるのはそう長い時間を要さないだろう。

「ケン・・・・ロリコンッテ何?」

アルの質問にケンはショックを受けて答えられずに悶絶しいた。

 

 

なんとか復活したケンがアルを連れて格納庫にやってくると格納庫の一箇所に人ごみが出

来ていた。その中の一人を捕まえ、ケンが聞くと、

「敵機を鹵獲したらしんだけど何をしてもうんとも動かないし、整備員が弄ろうとしたら

装甲に電流流して防いだりされているらしい。」

それを聞いたケンはアルの手を引いて人ごみを掻き分け敵機に近づく。

そして敵機が見えるとアルはケンから手を離し敵機に近づいていく。アルを止めようとす

る整備員をケンは手で制す。

アルは機体に手を触れ口を開く。

「レギンレイブ・・・・整備ルームヲ開ケテチョウダイ。」

『マスターアルフィード、声紋確認。』

機械音声が響き、敵機・・・キリエルの一部がプシュと音を立てて開く。

ケンがキリエルを弄っていたときアルが出てきた場所が現れる。

ケンがユックリと近づきアルの後ろから覗き込むとそこには透明な球体が様々なコードで

繋がれ設置してあった。アルはその球体を指差す。

「コレガ、私ノ友達・・・キリエルメインAI【レギンレイブ】、私ハ“レギン”ッテ呼ンデ

ル。久シブリダネ、レギン。」

球体・・・レギンレイブは答えるように点滅する。

それを見たアルはケンに向き直り“モウ大丈夫”と言うとケンは整備員を招き入れる。

「あとは整備員に任せよう。」

そう言ってアルをつれて格納庫から出ると目の前に一台のジープが止まる。

「おぉっ、ロリコン大尉じゃないか♪」

「フフッ・・・ダメですよ。そんなこと言っては・・フフフ。」

「さっそく広まっていたか・・・・・・・ラン中尉め・・・。」

ジープにはアレスと桜花の姿があった。アレスは楽しそうに笑い、桜花は必死に吹き出す

のを抑えている様子だった。

「そういや、ケン大尉はヒマかい?外出許可貰ったからこれから基地の外に行くんだけどさ。遊びにいかない?」

「ちょっとアレス中尉。私は遊びで外行くんじゃないんですから!!」

「へいへい、桜花はダッソー社日本支部に行くだけだろ?その後ヒマじゃん。」

ダッソー社はフランスの航空機メーカーで戦闘機も造っていた。前線に近い日本には

各国、各軍需企業も日本に支社と生産工場を設けていた。

桜花はアルを見てため息をつき口を開く。

「まぁ大尉の彼女もその服のままでは可愛そうですし・・・・・。」

「ちょっと待て、少尉。アルは俺の彼女とかそういう・・・・っていつの間にかアルがジープに乗り込んでるし。」

「早クイコウ、ケン!!」

ため息をついたケンだったが仕方なくジープに乗り込むとジープは横須賀基地を出て行った。

 

 

 

「誘ったくせにはぐれるとは・・・・・。」

「ア、アレ何?アァ〜アレハ!?」

混雑するメインストリートを、珍しいものを見るように走り回るアルを制しながら歩くケン。

基地を出たケン達はそのままダッソー社日本支部に向かい桜花を下ろす。桜花は内部に入

り十数分で出てきてジープに乗り込みメインストリートで降りて歩き回るまでは良かった

のだがあまりの混み具合にアレスや桜花とはぐれてしまったのだった。

そんな事を思い出していたケンがふと横を見るといつの間にかアルがいなかった。

慌てて周りを見回すとアルが服屋のショーウィンドウに食いついて見ているを見つける。

後ろから覗き込むとアルが熱心に見ているのは一輪の花がアクセントに入っているワンピ

ースだった。そして桜花の言葉を思い出す・

“大尉の彼女もその服のままでは可愛そうですし・・・・・。”

思い出した瞬間ランへの恨みが再び湧いてきたが、深呼吸をして自分を落ち着かせ

アルに話しかける。

「それが欲しいのか?」

「ウン、ナンカ綺麗♪」

ケンはそのワンピースの値段の高さに驚き改めて店名を見ると有名なブランド店だとわか

る。しかしここで“買ってやらない”という事も“欲しいのか”と聞いてしまった時点で

出来なかった。ケンはため息をつく。

「買ってやろう。店員に頼んで店内で着替えてくるといい。その整備服を着るのは基地内

だけでいいだろう。」

「ウン♪」

その後、ワンピースを着てはしゃぎ回るアルとは逆に、中身のない自分の財布を覗き込み

悲しくなったケンの姿だった。

「おい、はしゃぐな・・・・危ないぞ。」

「大丈夫ダヨ、大丈・・・キャッ!!」

「はぁ、案の定ってやつか・・・。すいません。」

アルが誰かにぶつかった為、ケンは走ってアルがぶつかってしまった人の所に行く。

“まったく、コレじゃあ俺がアルの兄か親みたいじゃないか・・・”

そう思ったケンだがランやビオシーが見たらやはりロリコンだと言われる事だろう。

「その声、君がケン大尉か?」

「な?その声、閻大尉なのか?あの時は助かったよ。」

アルがぶつかった男は黒い短髪にサングラスをかけていた。その口からはジャギュアに乗

っていた時に聞いた声・・・閻大尉の声そのものだった。

ケンが右手を差し出すと閻もサングラスを外しポケットにしまい、握り返す。

「いや、あの時も言ったがお互いさまだ。で、コノ子は君の妹か?」

左手でアルの頭を撫でつつ閻が言うとケンは首を横に振る。

「聞いておどろくなよ、その子はEMだ。」

案の定、閻は驚き目を見開く。そしてアルをみながら“ふむ”と頷く。

「EMとは人間とあまり変わりないんだな。町を歩かせてて良いのか?」

「ああ、ウィルクス艦長に許可は貰っているよ。それにアルはいい子だ。暴れたりしないよ。」

そうケンが言うとアルは閻の手を離れ嬉しそうにケンの腕に抱きつく。

そのタイミングでケン達の横にアレスと桜花の乗るジープが止まる。

「やっぱり噂は本当だったんですね・・・・大尉ってロリコ・・・。」

「ちがぁぁぁう!!」

ケンが叫ぶとアレスが苦笑しながら後部座席を指差す。

「そろそろ基地に帰るよ、乗りな♪え〜とそちらさんはどうする?」

アレスに指差された閻は首を横に振りサングラスをポケットから取り出しかける。

「俺はまだやる事がある、この辺で失礼するよ。」

閻はそういい残し人ごみの中に消えていった。それを見送ったアレスはケンとアルが

後部座席に乗り込むのを確認するとジープを基地へと向けた。

帰り・・・・ケンがふと空を見上げると一機の戦闘機が飛んでいるのが見えた。

前進翼を主翼とし、他にもガナード翼と水平翼を併せ持つのが特徴的な戦闘機だった。見

た目Su-47に似ているがどこか違うようにケンには思えた。

その戦闘機はケン達と同じ横須賀基地が目的地らしくゆっくりと高度を下げていた。

「何ヲ見テルノ?」

「いや、なんでもない。」

そう言ってアルの頭を撫でると助手席と運転席にいるアレスと桜花が振り返りニヤニヤと笑う。

「しまった・・・・・・・。」

ケンはすぐにアルを撫でるクセが自分についてしまっている自分に気づき、そのクセを絶

対に直そうと心に決めたのだった。

もう一度空を見上げるとそこにはもう先ほどの戦闘機はいない。青い空が広がっていた。

 

 

 

 

アメリカ大陸・・・EM移民船内。

 

白髪の男は席に座りながらも口を開く。

「攻撃準備は?」

「ほどなく完了するかと・・・・・・数日中にはヨコスカに攻撃を開始できるかと。」

「そうか・・・準備出来次第攻撃を開始しろ。」

アクリサは白髪の男の機嫌を伺いながらさらに報告を続ける。

「それからアルフィード様の行方ですが、やはりこの移民船内にはいないとおもわれま・・・・・。」

「俺は放っておけと言ったはずだが?」

「しかし・・・。」

「うるさいっ!!この星の原住民と融和をしようなどと言う妹はどうなろうと一向に構わない!!下がれっ!!」

「ハッ・・失礼致しました。」

アクリサが出て行った後、白髪の男は立ち上がり、苛立ちをぶつけるように壁に拳を叩きつけた・・・・・。

「この星の原住人など滅びればいいのだ・・・・滅びれば・・・・。クソッ、父上、母上・・。」

白髪の男は亡き両親の事を思い出していた。

 

 

第七話

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