電脳のエタニティ

電脳のエタニティ

 

 

 

第四話  ~electron  network a musical drama~

 

 

 

ENG本部屋上・・・・・・、ゆっくりと目を瞑り、美里は歌う。

我は拒む。我は拒む。

町を護る為、この電脳(せかい)を護るため・・・・・。

我は歩む、たとえ誰が立ちはだかろうとも。

我は拒む。我は拒む。

撃ち抜き、斬り裂いてでも、我は拒むのだ。

風のように形無く、水のように柔軟に・・・

土のように大らかに、火の様に激しく・・・・・・・。

この世界に不可能は無い。

我は拒む、そして歌う、平和の歌を。

町を護る為、この電脳(せかい)を護るため・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

「うわぁ!いたんですかジョセさん!?」

美里が歌を歌い終わり振り返るとそこにはジョセが腕を組んで立っており

美里は驚きの声を上げた。

「いや、せっかく歌っているのだから邪魔してはいけないと思ってな。

それにしてもその歌は一体なんだ?」

「一体なんだ?って・・・ENGのテーマ曲というか軍歌というか

そんなもんです。支給された手帳システムの最後に載ってますよぉ。」

“そんなもんって・・・”と呟きながらジョセはボードを開き、最終ページを開く。

「むぅ、本当に載っているな・・・・・・。」

「もぅ・・・少しは支給されたシステムくらい目を通しておいてくださいよぉ。」

「いや、面倒くさいしな。」

「め、面倒くさいってどんな理由ですか!?・・・・・・・・・ゴホン、でなんの用ですか?」

「あぁ、レイラ氏襲撃犯の目撃情報が入った。聞き込みに行くぞ、美里。」

「あ、待ってくださいよぉ〜!!」

そう言って屋上から去っていくジョセの後ろを美里も追いかけようとし、一度何も無い所を振り返る。

「・・・・・・・・・・気配を感じたんだけど気のせいかな?」

そして美里は階段を下りていった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クスッ♪」

美里の去った後の誰もいないはずの屋上で一人の人間が立っていた。

 

 

 

「結局無駄足だったな・・・・・・・。」

期待された目撃情報もまったく信用性の無いものと分かり、ゆっくりと本部に

歩みを進めるジョセと美里。

「ですねぇ〜・・・・・・・・ん?」

美里は目に入ったポスターに見入る。

「ん?バザーですかぁ〜、ジョセさん本部帰っても暇ですし行きません?」

「む?構わないが・・・・・。」

「ではではレッツゴ〜です♪」

 

 

バザー会場はかなりの人数が来ておりジョセと美里は人ごみに流されていた。

「むぅ、すごい人ごみだな・・・・。」

「そうですね、うっかりしたらはぐれちゃいますよ。」

「だな・・・・・ん?どうした?」

ジョセが見ると美里が立ち止まり露天の店先の何かを手にとっている。

「どうした?」

ジョセの問いに美里は手に取っていた物を慌てて置いて歩いていく。

「えっ!?いや、あの、なんでもないです、さぁ行きましょう!!」

ジョセは美里の手に取っていた物を見つめ、そして美里を追った。

 

 

 

「あれ、ジョセさんどこだろう?」

美里が気づいて振り返るといつの間にかジョセがいない。そして自分が

早足でどんどん進んだ事ではぐれた事に気づいた。

「・・・・・・・・・・キャっ」

ジョセを探してよそ見をして美里は女性にぶつかってしまう。

「ごめんなさい、よそ見してたものですから、大丈夫ですか?」

「あ、はい大丈夫です・・・・・・。」

美里の差し出した手を女性は握り、立ち上がる。

美里が何気なく話しかける。

「それにしてもすごい人ですね。」

「そうですね、それにしてもどうしたんですか、なにかキョロキョロしていた

ようですけど・・・・・・・・・・・。」

「いやぁ〜ちょっと同僚とはぐれちゃいまして・・・・。」

「そうなんですか。私も連れとはぐれてしまって。

あ、自己紹介がまだでしたね、私はサヤ・ミッシェルです。貴女は?」

女性、サヤに聞かれ慌てて美里も自己紹介する。

「私は美里・エルメスです。ENGに勤めてます。」

「ENG・・・・。」

一瞬表情が険しくなるサヤに美里が“大丈夫ですか?”と聞くと

微笑に表情を戻し口を開く

「あ、いえなんでもないです。それでは連れを探しますので失礼しますね。」

そしてサヤがその場から去った直後にジョセが走ってくる。

「やっと見つけた、先にどんどん行くものだから探したぞ。」

「あ、ジョセさん、すいません。」

「ほら、これ。」

ジョセはいきなり美里の手を取り、何かを握らせる。

「あ、これ・・・・・・・。」

「この国の案内からなにから手伝ってもらったからな、御礼だよ。」

美里が渡されたのは露店で美里が手に取り見ていたもの、天使の羽を模った

イヤリングだった。

「ありがとうございます、欲しかったんですよ♪」

そう言って美里はさっそく耳にそのイヤリングをつける。

「どうですか?似合いますかねぇ?」

「ああ、いいと思うぞ。さて、いい加減帰らないとフェッロが怒る。」

「ですねぇ〜お土産にから揚げを買って行きましょう。」

「またから揚げか・・・?」

「いいじゃないですかぁ〜おいしいんですからぁ。」

そしてバザー広場から離れ、帰路の途中の公園に差しかかった時だ。

ジョセは急に足を止める。

「どうしたんですか?ジョセさん。」

「忘れ物をした・・・・先に帰ってくれるか?」

「え、一緒に行きましょうか?」

「いや、いい。先に帰ってくれ、できれば早く・・・・・。」

「は、はぁ・・・わかりました。」

そして美里が歩き去った後にゆっくりと公園に入っていく。そして

誰もいないはずの公園内でジョセは口を開く。

「そろそろ出てきたらどうだ?コソコソとする必要も無いと思うぞ。」

その声と共にいつの間にかジャングルジムのてっぺんに立つ一人の黒いコートを着た

男が立っている、その手には中世の騎士が使っていたような剣を持っている。

「・・・・・・俺の名はオクタヴィアン・・・・行くぞ。」

オクタヴィアンと名乗ったコートの男は問答無用とでも言うかのように剣を構え

突っ込んでくる。

「ちっ!」

ジョセが横に飛んで回避するとオクタヴィアンの剣が地面に突き刺さりそこを中心に

衝撃でクレーターが出来る。

「俺のアクトウェポン【ZOFY】・・・・・。」

「アクトキーっ!!」

≪ボードオープンしました、アクトキー表示します。≫

≪アクト解放≫

ジョセも腕輪を外し腕に白銀の篭手が出現する。そして追撃してきたオクタヴィアンの剣

を篭手で受け止めるが、あまりの破壊力にジョセは吹き飛ばされる。

「かはっ!!」

何とか踏ん張り、転げて隙を作る事だけは避けられたが、さらに追撃が来たためそれを回

避するのに必死だった。そして避けたオクタヴィアンの斬撃は公園の設備や木々を

切り倒していく。

“このままじゃまずいな・・・・”そう思ったミルズは賭けに出る。

振りかざされた剣をタイミング合わせて両手で挟みこむ。そして剣の軌道を逸らして

開いた脇腹に拳を叩き込んだ。

「どうだっ!!」

「フッ、フハハハハハハハッ!」

しかし殴られたはずのオクタヴィアンが笑い声を上げる。

「効かないな・・・・。」

そしてジョセは蹴り飛ばされ、転がり立ち上がった瞬間目の前にはもうオクタヴィアンがおり

「終わりだ。」

そして斬られ、その破壊力で吹っ飛び木に叩きつけられジョセは倒れる。

オクタヴィアンは剣をジョセに突きつける。

「まだ終わらせていないのか・・・・・・・。」

その時だ、一人の声がオクタヴィアンにかけられる。ジョセは何とか顔だけ上げると

そこには前に見たことがある顔・・・・・ファウストだ。ファウストは肩に何かを担いでいる。

その担いでいる物を見てジョセは叫ぶ。

「美里っ!」

「ジョセさんっ!!」

そう美里を背負っていたのだ。しかしジョセはオクタヴィアンの一撃で動けずにいた。

「さっさと止めを刺せ。」

「分かっている・・・・・。最後にいい事を教えてやろう・・・・美里というあの女、人間ではない。」

「なに!?」

「あの女は造られた・・・・という事だよ。そして我々の計画の鍵となる。」

そう言ってオクタヴィアンが剣を振り上げ、ジョセに振り下ろそうとしたその時

「・・・・めて・・・やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

美里が叫ぶと何かにファウストは弾き飛ばされる。ジョセも吹き飛ばされる。

「一体何が・・・・・・っ!?」

目に映った光景にジョセは絶句した。

それはほとんど公園にあったものが吹き飛び、巨大なクレーターが出来ていたのだ。

そして・・・・・・・・

「美里・・・・・・?」

美里が何も無いのに空中に浮いていた、しかし目は感情も無い無機質な感じであった。

そして背中には巨大な黒い羽がありまるで堕天使を見ているようだとジョセは思った。

「アクト・・・・・オープン・・・・・。」

美里がいつもでは考えられない感情のこもらない声で言うと、ミサとの目の前に数十を超

えるスクリーンが現れる。

≪SPモード開始します、パスワードを入力してください≫

そうスクリーンに表示が出ると美里はユックリと言葉・・歌を紡ぐ。

我は拒む。我は拒む。

町を護る為、この電脳(せかい)を護るため・・・・・。

我は歩む、たとえ誰が立ちはだかろうとも。

我は拒む。我は拒む。」

「チッ!ガーディアンが目覚めたか・・・・。」

そう言って剣を構えてオクタヴィアンは歌う美里に突っ込む。そして剣を振りかざすが

美里に当たる直前に何かに阻まれ弾かれる。

「なっ!?」

「撃ち抜き、斬り裂いてでも、我は拒むのだ。

風のように形無く、水のように柔軟に・・・

土のように大らかに、火の様に激しく・・・・・・・。

この世界に不可能は無い。

我は拒む、そして歌う、平和の歌を。

町を護る為、この電脳(せかい)を護るため・・・・・。」

≪パスワード確認しました、アクト【フェイルエンジェル(堕天使)】発動≫

もう一度突っ込んでいったオクタヴィアンの腕を美里が不意に掴む。怪力を誇るオクタヴ

ィアンをビクとも動かせなくする。

「邪魔をするな・・・・・カスが・・・・・・・。」

そう美里が呟いた瞬間、美里につかまれたオクタヴィアンの腕が分子レベルで一気に分解され、消え去った。

「我は城の鍵を守るもの・・・・・貴様が触れていいものではないのだ。」

そう言って美里が睨みつけた直後、オクタヴィアンの体が美里につかまれた腕のように

分解され、ドンドン消え去っていく。

「がぁぁぁ―――!!」

異常な叫びを上げてオクタヴィアンはドンドンと消え去っていく。

「チッ、退くか・・・。」

そういってファウストは姿をくらます。ジョセは美里に近づこうとする。

「これはっ!?クソ、一体何なんだ!?美里!!」

しかしオクタヴィアンと同じように何かに阻まれ吹き飛ばされる。

それでも踏みとどまり叫ぶ。

「美里、やめるんだ!!」

オクタヴィアンを掴んでいた右手ではなく左手を振るうだけで凄まじい風を起し

ジョセを吹き飛ばす。

「私は美里ではない・・・・鍵を守る守護者だ。」

「クソッ!!」

また接近してくるジョセに対し美里は左手を数回振る。するとカマイタチが起こり

ジョセを切り裂くがジョセは構わず突っ込んでくる。

そして一気に近づき美里を強く抱きしめる。

「はなせ・・・・・。」

「もう大丈夫だ、もういいんだ・・・・・。」

「ジョ・・・・・・・セ・・・・・・さ・・ん。」

そう言ってジョセが優しく抱きしめると美里の目が正気に戻り

半身を消したオクタヴィアンを離す。そしてそのまま美里は意識を失ってしまった。

「美里・・・・一体何が・・・・・・。」

「フッ・・・・消える前に少し教えてやろうか?」

その言葉に振り向くと消えかけたオクタヴィアンがほくそえんでいる。

その姿はドンドン消えていっていた。

「何?」

「消える前に少しその女の事を教えてやろうと言ったんだ。」

ジョセがオクタヴィアンを睨みつけるとそれを頷きと判断したオクタヴィアンは

話を始める。

「この国の元はなんだったか知っているか?」

「たしか・・・・国連の超巨大サーバーだったな、それが個人に売り渡された。」

「その通りだ、その個人の名はアルカス・シムカ・・・・その超巨大サーバーの製作にも

携わったアルカスグループの長だな。」

「それがどうしたと言うんだ?」

「まぁそう急ぐな・・・・しかしアルカス・シムカは財力の他にもう一つ力があった。」

「もう一つの力?」

「ブラックテクノロジーだよ、現代の技術を超えた過去の技術さ。

彼はそれを手にいれていた。そしてそのテクノロジーが他の人間に渡るのを恐れた。

ちょうどその時超巨大サーバー内に世界を作る計画があった。

そしてアルカスはそのサーバーにテクノロジーを封印することにした。

そしてプロテクトの鍵をアルカスが唯一信用していた男に渡したのだ。」

「ある男・・・・誰だ?その話が美里とどんな関係が!?」

「その男は・・・・マサキ・カイザン・・・・ENGの司令だ・・・・。」

「なっ!?」

「悪いな、この後は自分で調べてくれ・・・・もう・・・・俺・・に・・は時・・・間がな・・。」

そしてオクタヴィアンは完全に消え去ってしまった。

≪オクタヴィアン様、消去されました≫

ジョセはそっと美里の顔を見ながら考えを巡らせていた。

 

 

 

 

第五話

【お買い物なら楽天市場!】 【話題の商品がなんでも揃う!】 【無料掲示板&ブログ】 【レンタルサーバー】
【AT-LINK 専用サーバ・サービス】 【ディックの30日間無利息キャッシング】 【1日5分の英会話】