電脳のエタニティ

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第六話  〜electron network an incident

 

 

 

≪ジョセ様、再起動します・・・・・。≫

ジョセの目にゆっくりと天井が見えてくる。

「ここは・・・・・。」

「ENG本部よ・・・・気がついたかしら、ジョセ。」

ベットに横になっていたジョセはフェッロを横目で見た後、何かを思い出し起き上がる。

「フェッロか・・・・・クソッ!!美里は!?」

しかしフェッロは首を横に振る。

「無許可のアクト反応を感知してミッシアと現場に行ったけど、そこには意識を失って

倒れていた貴方しかいなかったわ。後はこれが落ちていただけ・・・・・。」

そういってフェッロがジョセに渡したのはジョセがプレゼントし、美里がつけていた天使

の羽を模ったイヤリング。それを見ながらジョセはフェッロに聞く

「俺は何時間気を失っていたんだ?」

「75時間よ・・・・何らかの原因で再起動に時間がかかったようね。」

「!?」

「現在永遠の城内部にリース一味が篭城中、重装備させた捜査官総出で

現在包囲中、にらみ合ってる所ね。」

「・・・・・・・・・・そうか・・・。」

「数で勝っているかと思ったら一味はバグを大量に配下として操作しているので

やっかいで・・・・ってちょっとどこへ行く気!?」

起き上がり部屋を出て行こうとするジョセにフェッロが問うが聞こえているのかいないの

か何も言わずにそのまま出て行ってしまった。

「あぁ、もう!!」

フェッロもそう言ってジョセを追いかけていった。

 

 

 

 

 

「まぁ〜ったく本当に面倒な事が起きたのう。」

「う〜ん、でもどうやってバグを操ってるのかは興味深いなぁ。」

城門前で永遠の城を見上げる司令の横でミッシアが嬉しそうにボードを使って何かを

打ち込んでいる。目の前にバグの集団が今にも一斉攻撃してきそうな状況で・・・・。

まわりの他の捜査員達は緊張感が無いこの二人に呆れ気味だった。

ちょうどその時背後からの足音に気づき司令が振り返るとジョセが走ってくる。

「おぉ〜ジョセ君、目覚めたか・・・・・・グヘッ!!」

ジョセは何も言わずにジャンプし、司令の顔面を踏みつけジャンプしバグと塀を飛び越え

永遠の城内部に入る。

「人の顔を踏むとはなんてや・・・・・・ウガッ!!」

今度はフェッロが司令の顔面を踏みつけジョセと同じように塀を飛び越える。

「フェッロも言ったのか・・・・それじゃあ僕も行こうかな、よっと。」

「ミッシア、お前まで・・・ウギャッ!!」

ミッシアもわざわざ数歩下がって距離を取り加速して司令の顔面を踏みつけて

塀を飛び越えてしまう。

「し、司令、大丈夫ですか?」

一人の捜査官が顔を押さえてうずくまる司令に近づくと司令はいきなり立ち上がる。

「全捜査員に通達っ!!これより強行突入を開始する!!あの老人虐めな三人に

遅れるなぁ――――!!!!!!」

 

 

 

 

 

「庭園・・・・か。」

ジョセは襲い掛かってくる騎士タイプのバグを蹴り倒しながら言う。

「城内部に早く入らなければ・・・・・・・・・・・!?」

ジョセが城を見上げた瞬間、一発の弾丸が頬を掠める。

「惜しいですわ、残念ですわ、計算ミスですわぁ――!!」

ジョセが弾丸の飛んできた方向を見るとそこにはカスパールの姿。

「勝負ですわ、バトルですわ、決着ですわ!!」

「望むとこ・・・・・」

「ろだねぇ〜僕が相手になるよ。」

その声に振り返るとそこにはフェッロとミッシアの姿、すでにミッシアは自分のアクトウ

ェポンを手に持っていた。

「さぁジョセ、ここはミッシアに任せて先に進むわよ!!」

「しかし・・・・・。」

「僕に任せてよ、その代わり美里を絶対助けなよ!!」

「わかった、すまない。」

そう言ってジョセとフェッロが走り出す。するとカスパールはマスケット銃をジョセたち

向け弾を撃つが、ミッシアの【G−Heaven】から放たれた弾丸がそれを撃ち落す。

「わるいね、少し僕と付き合ってもらうよ、お・姉・さ・ん。」

「餓鬼ですわ、ウザイですわ、瞬殺ですわぁ―!!」

カスパールとミッシアは同時に愛銃の引き金を引いた。

 

 

 

【永遠の城 応接間】

大きな応接間の中心に透明な球体が浮いている。

その球体の中には白いドレスに身を包み膝を抱え、目をつぶっている美里の姿。

「彼女からのパスワードDL率は?」

その姿を見ながらリースがキーボードを打ち作業しているタンホイザーに話しかける。

「約62%完了しました。」

「やっぱりミルズ君、来るかな・・・・・?」

サヤがリースに聞くとリースはニヤリと笑い、応接間の一際大きい窓から外を見る。

「奴は来るよ・・・・・・・、そういう奴さ、ジョセという男はな。」

「・・・・・・・・・・・。」

サヤは無言でリースの横に並び、ゆっくりとリースにもたれかかる。

リースはサヤの頭をなでながら鋭い目を窓の外に向けていた・・・・・。

 

 

 

 

ジョセとフェッロは庭園を駆け抜け、巨大なドアを開けて中に入る。

「ここが永遠の城内部?」

「私もはじめて見たわ・・・想像以上の広さね・・・。」

その時だ、大量の手術用メスが飛んでくる。

「チッ!」

ジョセとフェッロはそれぞれ違う方向に飛び、避ける。しかしそれを追って次々とメスが

飛んでくるのでジョセは柱の陰に隠れ、何とか避けきったがフェッロは隠れる物が無かった。

「フェッロっ!!!」

「大丈夫よ!!」

フェッロは腕輪を外し、フェッロのアクトウェポンである槍を構え、

飛んできたメスを弾き落とす。

「なるほど・・・・・。この程度じゃ倒せないか・・・・。」

柱の影から出てきたのは白衣を着た男・・・ファウストだ。

「ジョセ!!貴方は先に行きなさい、ここは私が抑えるわ!!」

「すまない!!」

ジョセは上層へ向かう階段を駆け上り始める。

「いいの?行かせて・・・。」

卑屈を込めてフェッロが言うとファウストは何事も無いかのようにメスを取り出し

「問題は無い、お前を抑えて奴は通せと命ぜられている。」

「あら、私は貴方、好みじゃないのだけれども・・・・・。」

「お互いさまだ、行くぞ。」

ファウストがメスを持ち突っ込むのとフェッロが大槍を構えて突っ込むのは同時だった。

 

 

 

 

 

「ふむ・・・・懐かしいのう。」

暗く細い通路を一人の初老の男が歩く、ENG司令マサキ・カイザン。

電脳世界の生みの親、アルカスの唯一信用した男。

「この隠し通路を最後に通ったのは・・・・・・・・・。」

「五年前ね・・・貴方がここから起動していない美里を抱えてね・・・・・。」

司令の足は目の前に立つ初老の女性を見つけたと同時に止まる。

「ユリコ・ミッシェル・・・・いや、今はレイラ・セオリーニか・・・・・。」

「どちらでも構わないわ、どうせ私にとって名前は価値のあるもではないから。」

「やはりお前だったんだな・・・リース一派にこの城の見取り図を提供したのは。

なんだ、やはり・・・・・・・・。」

「そう、私にとって唯一価値のあるもの・・・いえ、人・・・・私の娘サヤ。」

そう言ったレイラの腕から見たことのある腕輪が外れ、手に細剣が握られている。

「娘を助けるためなら私は何もいらない。日本で彼女を孤児院に預け、去った私を

あの子はこの世界であったとき“お母さん”と言ってくれた、嬉しかった。」

司令の足元に何かが落ちる・・・・・白衣の裾に隠れていた司令の腕輪・・・・・。

そして司令の両手には一組のトンファーが握られている。

「やはり戦わなければいけないか・・・・アルカスの唯一信用した男と、アルカスが

唯一愛した女は・・・・・・・・。」

「ええ、残念な事にね・・・・・・・・・・・。」

動いたのは司令、右手のトンファーを回転させながら一気に接近し、上段から

打撃を加える・・・が、レイラも細剣でそれを受け止める。

司令はユックリとした動作で状態を変えずに左手のトンファーをがら空きになった

レイラの脇腹に叩き込もうとする・・・がいつの間にかレイラが左手に戦闘用ナイフを

持ち、トンファーを受け止める。そして軽く体を浮かせてレイラは司令の腹に

蹴りを叩き込む。

「クッ!!」

「いくら私でも剣一本でトンファー二本に挑まないわ・・・・。」

「フッ、流石にこの年だと体に響くわい。まだまだ行くがな。」

再び司令は左手のトンファーで攻める、が相当丈夫でそう簡単には斬られないはずのトン

ファーがレイラの細剣で真っ二つになる。レイラはそのまま左手のナイフを司令の心臓に

突き刺そうとするがそれを司令は左手で庇い、ナイフは左手に深々と突き刺さる。

司令はそのままの状態で右手のトンファーを振り下ろすが、レイラもナイフを持った手で

防ぐ。レイラの左腕の折れる鈍い音が響くが痛みが無いかのように残った右手で細剣を

司令に振るが司令は一歩二歩と距離を取る。

司令の左腕は血が大量に出ており動きそうも無い、同じようにレイラも左腕もダランとし

ており骨が折れて動かせないのが分かる。

「イツツツ・・・・本物の血じゃ無いんだがなぁ〜」

「でも肉体本体にフィールドバックするわ、知っているでしょう?」

「当たり前だ、この電脳世界のシステムはお前と俺とアルカスで構築したんだからのう。」

レイラは改めて細剣を構え直す。

「最後にしましょう・・・・ここは通さない。」

司令も右手にトンファーを構え直す。

「悪いが美里の事をわしは娘だと思っていたし、おそらくジョセ君は美里にとって大切な人物になるはずだ。二人ともこんな所で朽ち果てさせるわけにはいかん、通してもらうぞ。」

レイラと司令は同時に地面を蹴った・・・・・・・。

 

 

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・・。」

ジョセはひたすら階段を駆け上がる。何が自分をここまで動かしているのだろう?

ジョセは走りながらそう思う。

リースとの因縁・・・・・違う。

任務・・・・・違う。

この世界を守る・・・・・そんなの表向きの理由に過ぎない。

フと頭の中に女性の笑顔が映る。

そうか、彼女を助けたいから、もう一度あの笑顔が見たいから・・・。

「ようこそ、ジョセ様。」

階段を上がりきった所でタンホイザーが頭をたれて待っていた。

「俺は美里の笑顔を取り戻したいからここまで来た・・・・返してもらうぞ・・・。」

ジョセは自分のアクトウェポンである篭手を装備し、構えを取る。

タンホイザーも剣を構えた。その時激しい揺れがその場を襲った。

「なんだ、この揺れは・・・?」

ジョセの言葉にタンホイザーは嬉しそうに笑い言った。

「鍵からのパスワードDL率90%、後数分で鍵(美里)の記憶は消え、永遠の城の

ブラックテクノロジーはリース様の物になります。」

 

 

 

 

第七話

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