電脳のエタニティ

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第七話 電脳覚醒〜electronic network  awakening

 

 

「やれやれ。やっかいだなぁ〜。」

呆れ顔でミッシアは自分に飛んでくる銃弾をG−Heaven】というリボルバー銃二丁で

撃ち落す。そして大木の影に隠れてリボルバーの空薬莢を排出し、白衣のポケットから

銃弾を取り出し装填していく。

「そろそろ予備の銃弾も心もとなくなってきたし・・・・、決めるかな。」

ミッシアは木の陰から飛び出し銃を木の上でマスケット銃を構えている少女に向け、連射

する。女・・・・カスパールはヒョイと木から飛び降りながらミッシアに向けて一発発射。

ミッシアがとっさに大木に再び身を隠すが、カスパールのマスケット銃から撃ちだされた

銃弾はまるで意思があるかのように大木を迂回しミッシアに襲い掛かる。

「うわっ!?」

ミッシアがとっさに身を伏せると銃弾は先ほどまでミッシアの頭部があった空間を通り抜

け大木にめり込む。

「隠れてるのですわ、逃げるだけですわ、もう一発行きますわ♪」

「ちっ!」

ミッシアが大木の陰から飛び出た、後ろからカスパールの撃った銃弾が飛んでくる。

飛んでギリギリ避けるが・・・・・・、

「うわ!!僕の白衣に穴が開いた!!」

ミッシアはそのまま走り続けながら弾倉をスイングアウトし、残弾数を確認する。

「残弾も少ないし・・・・・そろそろかな。」

カスパールの銃弾から逃げるのを止め、ミッシアはその場で立ち止まる。

「逃げるのをやめたのですわ、あきらめたですわ、命乞いですわ♪」

カスパールの言葉にやれやれといった表情でミッシアは苦笑する。

「時間稼ぎもこれくらいでいいかな?」

「なにを言っているのですわ?」

「今まで僕が逃げていたのは、99%で僕が君を倒すだろうけど残り万が一、1%の確立で君

が僕を倒した場合、ジョセに追いつかないように時間稼ぎをしていたのさ。」

そして自信有りげにカスパールを指差し叫んだ。

「君のアクトウェポンは解析済みだ、君は僕に勝てない!!」

そしてゆっくりとカスパールに向け歩き出す。

「ウザイですわ、生意気ですわ、ぶち殺しますわ!!」

カスパールの放った銃弾をミッシアは顔を変えずにスレスレで避ける。

しかし弾はUターンしてミッシアの背部から迫るがそれも予測してたかのようにミッシア

はサラリと避けた。

「当たらないですわ、なんでですわ、ありえないですわ。」

「言ったじゃん、君のアクトは解析済みだよ。」

「ウソですわ、ウソですわ、ウソですわ!!!!」

カスパールが勢いよく横に首を振りマスケット銃を構える発砲する。するとミッシアは着

ていた白衣をカスパールに投げつけ自分の姿をカスパールの視界から消す。

「な!?」

ミッシアはその隙に一気に走り、カスパールに接近しながら発砲する。カスパールも再び

視界にミッシアを捉え、応射するがミッシアの放つ銃弾によって撃ち落される。

「君のアクトウェポンから放たれた銃弾が不規則な動きで相手を襲う原理・・・・・、それは!!」

ミッシアはカスパールの懐に飛び込み、カスパールのアクトウェポン【Der FREISCH:UTZ

(魔弾の射手)】を蹴り飛ばし腹に拳を叩き込む。

「ぐふっ!」

「君の目だ、君の目線の先に銃弾は飛んでいくんだろう?君が右向けば右に銃弾が飛んでいくし、

上を向けば上に飛んで行く。君の視線に注意しておけば問題はない、だろ?

ちなみにそのクセのある喋り方はその事に相手が気づかないよう言葉使いに注意を向けるため。」

ミッシアは殴られた腹を抱えてうずくまったカスパールに銃口を突きつける。

ゆっくりと顔を上げたカスパールは笑みを浮かべていたが、先ほどの少女の

笑いとは違う大人の女性を連想させる静かな笑みだった。そして口を開いて出てきた言葉

は今までのカスパールとは違う普通の言葉使いだった。

「あら、さすがね。口癖の理由までばれてたんだ。まぁいいわ、私も仲間の一人を抑えてればよかっただけだしね。目的は達成できたわ。」

「じゃあもういいよね?あ、でも・・・・・・・。」

そう言ってミッシアは撃鉄を上げる、カスパールが目を瞑るのと引き金を引いた。

 

カチン

「え?」

轟音とは違う虚しい小さな音にカスパールはポカンとした顔でミッシアを見上げる。

「僕の銃、弾切れなんだよね。アハハハ。」

ミッシアは懐に銃をしまい、落ちていた白衣を拾い着る。

その時だ、ミッシアとカスパールのいた庭園が地響きと共に亀裂が入っていく。

「なに!?」

「そろそろ鍵(美里)からパスワード抽出が終わるのね。」

「どういうこと?」

「鍵にはもう一つ防衛プログラムが組み込まれていてね、パスワードの抽出と同時に

電脳世界の崩壊が始めるようになっている・・・・・・・・。」

「パスワードを奪った奴を現実世界に戻らせないために?」

「そうね・・・・さて、ボウヤもそろそろ脱出したらどうかし・・・・・!?」

カスパールの足元に巨大な亀裂ができ、そこにカスパールが落ちそうになる、が・・・。

「何故?何故私を助けるの!!??」

ミッシアは落ちそうになったカスパールの腕を掴んでいた。

「言ったじゃん、僕の目的は君がジョセに追いつけなくすることだけだよ。アンタを殺すことじゃない!!」

そう言ってミッシアはカスパールを持ち上げ、カスパールの足と体を持ち上げ、崩壊しだ

した庭園から出口に向け走り出す。

「ちょっと、私は敵・・・・・・。」

「あ〜〜〜もううるさいな!!僕に負けて、助けられたんだから少しは僕の言う事を聞いてよ!!」

カスパールはミッシアの腕の中で諦めたようにため息をつき苦笑した。

「まぁ、年下に抱き上げられるっていうのも悪くないわね。」

「何言ってるんだよ、多くても僕と1、2歳くらいしか変わんないでしょ。」

「フフフ・・・・アハハハハハハ♪面白いですわ、笑っちゃいますわぁ〜♪」

「ゲッ、口調が戻ってるし・・・・・ってそうじゃなくて、なんで笑うんだよ。」

「私の年齢は23ですわ、大人ですわ、少女じゃなく女性ですわぁ〜♪」

「うえっ!うそでしょう!!その見た目で23!?僕より10歳も年上!?」

「嘘じゃないですわ!失礼ですわ!大人の女性ですわ!!」

「うそうそうそうそうそだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

そんな言い合いをしながらミッシアはカスパールを抱え門まで走っていった。

ジョセが美里をしっかり助けてくれると信じて。

 

 

 

 

 

同じころ・・・・・・

【永遠の城 広間】

永遠の城、広間・・・・・・。

普段は大きな柱や綺麗で高級感溢れる家具や骨董品で誰でも思わず感嘆を漏らすその場所

は現在無残にも原形をとどめていなかった。

広間の中央では人一人分の長さの槍・・・アクトウェポン【G−astray】を構えている女

性・・・・・フェッロと同じく人一人分の大きさのメスを持っている白衣の男・・・・ファウスト

が激しい戦闘を繰り広げていた。

フェッロは大きく槍を振り落とすがファウストは巨大メスで受け止め、懐から数本のメス

を取り出し投げる。フェッロはそれを避けるため距離を取るとファウストが逆に追撃を加

えるため接近する。今度はフェッロが槍で床を砕き、飛礫を槍の勢いでファウストに向け

飛ばし、ファウストはそれを避けるために歩みを止め回避する。

「やるな・・・・・。」

「そっちもね。まったくこんな手こずるならミッシアと代われば良かったわね。」

フェッロはそう言い槍を構える、と同時にフェッロの姿がファウストの視線から消える。

「何っ!?・・・・・・・ッ!!」

先ほどまで数m先にいたはずのフェッロが一瞬でファウストの目の前まで来ていた。

そしてフェッロはファウストの腹を殴り飛ばしそのまま素早い突きを繰り出す。

ファウストは殴られた後だが、冷静にフェッロの槍捌きを避けた・・・・・はずだったが・・・・。

体中、槍の掠めた傷が大量にできていた。

「これがお前のアクトウェポンの能力か・・・・・。」

「そう、私のアクトウェポン【G−astray】の能力、【加速プログラム付加】。」

「そうか・・・・では俺のアクトウェポンであり我が恋人【マルグリート】の能力もお見せしよう。」

ファウストはユックリと持っていた巨大なメス【マルグリート】から手を離す。すると

マルグリートが砕け散り多数の小さなメスに変わり、ファウストの周りを浮遊しだす。

「ただ数が増えただけじゃない!!」

フェッロがまたその場から消える・・・・いや、あまりの速さに目が追いついていないだけなのだが。

そしてフェッロはファウストの首に向けて槍を繰り出すが・・・・

「な・・・・」

ファウストの周りを浮遊していた小さなメスが多数集まり壁を作り、フェッロの槍を防いでいた。

フェッロは突き出した槍をいったん引っ込め、今度は振り下ろすが、先ほどと同じように小さなメスによって防がれる。

「これがマルグリートの能力【絶対防御】。まぁそれ以外にも・・・・・。」

警戒しフェッロが距離を取ると、ファウストは右手を天井に向けるとメスの集団が一斉に

天井に飛んでいく。

「?・・・・・・クッ!!」

何故ファウストが天井に向けてメスを飛ばしたかわからなかったフェッロは、すぐにその

理由を知った。メスが天井から雨のようにフェッロに襲い掛かったのだ。

槍で弾き、走って避けるが一本のメスがフェッロの右足に突き刺さり、フェッロは

転んでしまう。そしてファウストの周りにフェッロの右足に突き刺さっていた者も含め再

び多数のメスが戻ってくる。

「マルグリートの能力の真髄は俺の周りを浮遊している多数のメスを自在に操る事に

あるんだ。」

「あら、それはすごいわね・・・・・・・・・・。」

フェッロは立ち上がるが右足はほとんど力が入っていないように見える。

「ムリはしないでさっさと諦めたらどうだ?」

「そうね、それが楽なんでしょうけど・・・・私は負けず嫌いでねっ!」

フェッロが加速する、そして一気にファウストに接近し槍を繰り出すがやはり

多数のメスにより防がれ、逆にフェッロの右足の傷口から加速した反動で

血が噴出していく。

「無理をするからだ。」

「うるさいわね!!」

フェッロはなんどもなんどもファウストに攻撃を仕掛けるがやはり防がれてしまう。

「さて、そろそろ終わりにしようか?」

ファウストが右手をフェッロに向けると浮遊していたメスが一斉に真っ直ぐフェッロに飛んで行く。

その時、フェッロは自殺とも思える行動に出た。

真っ直ぐメスの飛んでくる方・・・・ファウストの方へと突っ込んでいった。

「な、何!?」

ファウストが驚きの顔をした、フェッロはそのまま加速に入り消える。次にファウストの

目の前に現れたフェッロは体中メスで斬られた切り傷があった。

攻撃をもろともせず突っ込んできたフェッロに虚をつかれたファウストは反応できなかった、

しかも数m先にいたはずのフェッロを狙って飛んでいったメスはまだ数m先にあった。

「あんたのアクトウェポンの能力は確かにすごいわね、でもメスの数は限られている。

メスを飛ばせばあんたを守るメスはない・・・・・じゃあね、ファウスト博士!!」

フェッロは渾身の力を込めて槍を下から上に斬り上げる、数秒後斬られたファウストの体から血が噴出した。

そしてファウストはユックリと倒れ、フェッロも床に膝を付き荒い息をする。

「フッ、完敗だ・・・・・わたしもまだまだだったようだな。」

「まったく・・・・・ジョセに追いつけなくなっちゃったじゃないのよ。」

「では、俺の勝ちだ。」

「ムカつくわねぇ〜、私に負けたくせに。」

その時だ、激しい揺れがその場を襲い、天井などが崩れ始める。

「何、この揺れ!?」

「鍵からパスワードの抽出が完了したようだな・・・・・。」

「な!?こうしちゃいられない。」

傷の痛みを耐えて走り出そうとした瞬間、フェッロに向けて壊れた天井の一部が落ちてくる。
しかし足を怪我しているフェッロは逃げられない・・・・が、後ろから何かに投げ飛ばさ

れギリギリ天井の下敷きになるのを免れたフェッロは振り返る。するとそこには天井の下敷きになったファウストの姿。

「あんた・・・・・・。」

「フッ、まだ俺にも良心ってやつは残っていたらしい・・・・・。って何をしている!?」

フェッロはファウストの上に乗っかっている天井の瓦礫を槍を使って退かそうとしていた。

「ったく、アンタが私をほっとけば、私もアンタを置いて脱出しても何にも思わなかった

のに・・・・助けてくれたアンタを置いて逃げるなんて後味が悪いじゃないの!!」

少しずつファウストの上に乗っていた天井の瓦礫が浮いてくる、が・・・その時だった。

「逃げろ、天井がまた落ちてくるぞ!!」

「あと少し・・・・・っ!!」

天井の瓦礫がフェッロに向かって落ちてきた・・・・・その時、落ちてきた天井の瓦礫が何者か

によって粉砕される。

「司令・・・・・?」

「ボロボロだのう、フェッロ。」

「司令だってボロボロじゃないですか。」

体中傷だらけの司令はそう言われるとニヤリと笑い、トンファーでファウストの上に乗っていた瓦礫も取り除く。

「その男を連れてフェッロは脱出しろ。」

「司令は?」

「わしは少しやることがある。」

「じゃあ私も手伝・・・・・・・・。」

「脱出しろ、これは命令だ!!」

いつもは温厚な司令が怒鳴ったためフェッロは驚きを顔に浮かべる。しかしすぐに冷静に

なりファウストの背中に手を回し立ち上がらせる。

「司令、それじゃあ私は脱出します・・・・。」

「うむ。」

フェッロは出口に向け数歩歩きまた司令を振り返る

「司令・・・・・死ぬ気ですか・・・・?」

「できるだけそういうことは回避できるといいがのう・・・・。」

フェッロの質問にそう答え、司令はユックリとした歩調で永遠の城の奥に歩いていった。

フェッロもファウストを抱え出口に歩き出す・・・・・。

「さよならは言わないわよ・・・司令・・・・。そして・・・ジョセ、絶対美里を助け出しなさいよ!」

 

 

【永遠の城 四階広場】

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・。」

ジョセは荒い息と共に膝をつく、服は所々破れ血が滲んでいた。

「やれやれ、もうちょっと粘ってくれると思ったんですけどね。」

残念そうにタンホイザーはジョセに向け剣を振り下ろした。

 

さらに永遠の城の崩壊は進んでいた・・・・・・。

 

 

 

第八話

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