c 第二幕・・・・・開眼の時

第二幕・・・・・開眼の時

 

 

第一章

 

 

「永樹、そっちに行ったぞ!!」

逃走する大型の“影”を追いかけながら百志が叫ぶと、大型の“影”の前に回りこんだ

永樹が風を起こし、建物に“影”を叩きつける。

「ゼクスちゃん!!」

永樹の言葉にゼクスが頷き、磁力で鉄骨を浮かばせ、飛ばして建物に“影”磔にする。

そして追いついてきた百志が重力の渦を纏った拳を思いっきり“影”に叩きつける。

影は建物にそのままめり込み・・そして消滅した。

「うっし、ゼクス・・・・組あ・・・・」

「組合にメールを送っておく・・・・抜かりはない。」

「アハハハ・・・・さすがゼクスちゃん。」

メールの送り忘れが多々あった永樹はゼクスの働きの良さに自嘲をうかべる。

「ああ、永樹よりよっぽど役に立つ。」

「それはないよ〜百志さん!!」

百志は永樹の言葉を意図的に苦笑しながら無視して歩き始めるとゼクスがまるで親犬を追

う子犬のように百志の後ろにぴったりついて歩く。

永樹は置いてかれる形になった。

「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

 

 

「ふぅ〜ん、“英国のロンドンに独国のベルリン、米国のシアトルに中国の北京でも大型地震と共に

正体不明の生物現る、東京の“影”と同様か?“か・・・世界ももう終わりかねぇ〜。

ったく世界でてんわやんわ慌ててるのにこいつらは・・・・・・。」

新聞の海外欄から視線を外し騒がしい座敷席に向ける。

「かぁー!!うめぇ!!」

いつも通り組合で報酬を貰ったその足で【菊花】に向かった百志達は食事をとっていた。

「・・・・・・米粒・・・ついているぞ百志。」

「おう、サンキュ!!」

スクルドが百志の口元に米粒が付いているを見つけて、指でとり口に含むとそれを見てい

た万理香が口を膨らまし、箸でキュウリの新香を摘み、百志の口元に運ぶ。

「百ちゃん、あ〜ん♪」

百志は食事に全神経を集中させているのか猛然と食べまくり、口元に出された新香もパク

ッと食べてそのまま食事を続ける。するとゼクスは張り合うように鮪の切り身を一切れ摘

み百志の口元に持っていくと百志は先程と同じくパクッと食べてそのまま食事を続けた。

「むぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・っ!!」

万理香とゼクスが食べまくる百志を挟み睨みあう姿を見て永樹は苦笑しながら自分を指差す。

「俺にはあ〜ん、ってやってくれないの?」

「やるわけないじゃん!!」

「やるわけがありません!!」

万理香とゼクス、二人に睨まれると永樹は意気消沈していまい目の前にある焼き魚を箸で突いていじけてしまった。

「プハァ〜食った食った♪腹いっぱいだ!!」

しばらくしてざっと数人前の食事を平らげた百志が楊枝を咥えてくつろいでいると

いきなり窓が割られて複数の黒スーツの男達が突入してくる。

「食事後の運動にはちょうどいいってか!?」

百志はナイフを振りかざしてきた黒スーツの一人の頭部を掴み壁に叩きつける。

「食後の急激な運動は脇腹が痛くなるぞ、百志。」

ゼクスが自分に突っ込んできた黒スーツのナイフを避けてしゃがみ、足掛けをして転ばせ

倒れた黒スーツの腹に拳を叩き込み気絶させる。

そんな中、周りの状況など耳に入らないといった感じですっかり冷たくなった焼き魚を突

いていた永樹だったがテーブルをひっくり返され、顔面に焼き魚が直撃する。

「うがぁ!!魚まで俺を拒絶するのかぁぁぁぁ!!」

襲いかかってきた黒スーツの胸倉を掴み、ブンブンとものすごい勢いで振り回し始める。

一茶は無表情で黒スーツのナイフを避けながら包丁で黒スーツを切り裂いて撃退する。

万理香に関してはかなり凄まじく黒スーツの股間を蹴り上げ、悶絶した黒スーツの頭部に

椅子を叩きつけるという容赦ない攻撃。

店内での乱闘は数分でけりがつく形となった・・・・・。

店内に転がる黒スーツの男達・・・・・百志は胸ポケットから煙草を取り出し煙草に火を

つけながら壊れかけた扉の向こうに視線を向ける。

「そろそろ入ってきたらどうだ?」

その言葉と同時に入り口からスーツを着て眼鏡をかけた青年と小太りの男が入ってくる。

「ふむ・・・。」

小太りの男が納得したように青年に頷くと青年は百志達の方を向き、一礼する。

「申し訳ございません、腕を確かめさせていただきました。あなた方に“ある品”の回収

依頼したいと思います。申し送れました、私の横におりますのが柊株式会社社長の柊で、

私は秘書を勤めております、吉沢と言います、どうぞよろしく。」

「ったくそれじゃあ打ち合わせを・・・・。」

一茶がゆっくりと右手を上げる。

「なぁ、ここでは打ち合わせできそうにないから外でやってくれな?」

「そうだな・・・近くの喫茶でいいか?」

乱闘後の凄まじい光景を見回し百志はため息をつき外を指差すと柊と吉沢は頷いた。

 

 

 

「はぁ?」

喫茶で依頼を聞いた百志は疑問の声を上げる。

「ですから、社長の飼い犬が東京で生きていることがわかりまして回収を頼みたいと申し上げているのです。」

永樹がため息をつきアイスコーヒーを一口のみ口を開く。

「だけどね〜、東京っていったって案外広いんだよねぇ〜、しかも交通機関は動いてない

から実際徒歩で探す羽目になるだろうし・・・・・・。」

「300万出す。」

『その依頼受けさせていただきます!!』

社長の提示した額にすぐ飛びついた百志&永樹の姿を見て、ゼクスは頭を押さえながらため息をついた。

「クスッ♪」

その時吉沢がニヤリとほくそ笑んだ事に気づいた人はいなかった。

 

 

 

「ったくどうすっかな・・・・。」

百志が写真を見ながら廃墟を歩き呟くと、ゼクスは地図を見ながらヤレヤレといった表情を浮かべる。

「金に群がるからだ・・・百志。」

「うっせぇ!!今は金がないんだよ!!300万だぞ300万!!」

「・・・・・・ここだ。」

そう言いながらゼクスが地図を見ていた視線を上げる。そこには巨大な豪邸が建っていた。

庭は荒れ果て、建物も雨風にさらされボロボロになっていた。

「まるでお化け屋敷だねぇ〜あはははは♪」

「でも情報によるとココ周辺にいるらしい・・・・とりあえず屋敷内を探索しよう。」

ゼクスの言葉に百志と永樹は頷き、門を開ける。

「アハハハ・・・すぐ見つかったね・・・。」

「馬鹿やろう・・・俺らが探してるのはコギーだ・・・・ドーベルマンじゃねぇ!」

百志達が門のを開け庭に入ると・・・番犬で飼われていただろうドーベルマンに囲まれる。

「これは・・・・・。」

「逃げるがかちだね・・・一旦撤退!!」

三人は一斉に門に向かって走り出し一気に門の外に逃げ出す。

「はぁ・・・はぁ・・・番犬まで生きているなんて聞いていねぇぞ、ったく。」

「・・・・どうするのだ?」

悩みこむ百志とゼクスを横目に永樹がニヤリと笑った。

「いい案あるよ・・・・。」

 

 

「おい、永樹!!打ち合わせどおり影を連れて来たぜ!!」

門の前に立っていた永樹の耳に百志の声が届き、その声の聞こえた方向を見ると

影に追われている百志の姿。

「それじゃあ始めようかな?」

永樹は指揮者のように手を振り上げると風が舞い上がり、百志を追いかけていた影を空中

へと浮かばせ、そして館の敷地内へと投げ込む。

「よし、いこう!!」

永樹がそう叫び百志とゼクスが頷く。三人はゆっくりと音を立てずに門の中に入ると

ドーベルマンは影に対して吼え、警戒しており三人には気づいていない様子だった。

 

この奇策でなんとか館に入り込んだ三人だったが・・・・・・。

「広いねぇ・・・。」

「うむ・・・広い。」

「手分けして探すか?」

百志の提案に二人は頷き、館内で散開して目的の犬探しを始めたのだった。

 

 

第二幕、第二章

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