GUARDIAN bullet1

2080年・・・・新宿、夜、軽快なエンジン音とともに大型のワゴンが走る。

しかし窓はなくごついイメージを与えるそのワゴン車は現金輸送車だった。

運転しているのは青髪にサングラスをかけ、黒いスーツの上から黒いロングコートを

着た一人の男性、助手席には黒い長髪に男性と同じくサングラス、スーツとロングコート

を着て、手には少し小さめのゴルフバックの様な物を持っている。その女性が口を開く。

「ったく、わざわざ現金輸送車なんて運ばなきゃいけないなんてね・・・・。」

「それは言わない約束っすよ、静流の姉御。部長に怒られるっす。」

「まぁ、いいわ。少し寝るから運転交代時間になったら起してちょうだい、瑞冶。」

「了解っす、姉御。」

静流と呼ばれた女性は足を伸ばしすぐに寝息を立てる、それを確認した瑞冶は

軽くため息をついたあと視線を前に戻す。

 

 

5分ほど走っただろうか、その時だ、静流はバックのチャックを空ける。

「あれ、姉御起きたんっすか?」

「ピッタリ後ろにつかれてちゃ寝れないでしょう、気づかないの?」

瑞冶の運転する現金輸送車の後ろからワゴン車がずっとついて来ていたのだ。

「気づいているっすよ、ん?動くかな・・・・。」

瑞冶が言った直後にそのワゴン車が現金輸送車の横につけ、窓を開けるとそこには

G3自動小銃を構えた覆面の男・・・・そして覆面の男は現金輸送車に向けて自動小銃を乱射するが、

ガラスはひびが入るにとどまり、ボディもほとんど傷がついていない。

「やれやれね、現金輸送車の装甲や窓は防弾になってる事くらい知らないのかしら。」

「まぁ、最近はなんか簡単に銃が手に入りだしたみたいで、ドシロウトも銃を持つ

時代っすからねぇ〜、まぁそのお陰で・・・・・・・。」

「私達、警備会社も銃を持つのを許可されたんだけどねっ!!」

静流はバックからM3散弾銃を取り出し、運転席の窓越しに覆面の男に向ける。

「わ、ちょっと姉御!!ストップ!!」

そう言って急いで瑞冶が運転席の窓を開けた瞬間、M3散弾銃が火を噴き、覆面の男を撃

ち抜くと同時に、現金輸送車の隣につけていたワゴン車も覆面の男の死体を乗せたまま

バランスを崩し横転する。

「あぁ、何街のど真ん中で思いっきり撃っちゃってるんっすか!!アツッ、空薬莢が飛んで来たっすよ、アツいっすよ!!!」

「ぎゃぁぎゃあうるさいわね、ったく・・・・まだ来るわよ。」

瑞冶がサイドミラーを見るといつの間にか後ろに数台が接近してきておりその内の一台が

現金輸送車の横につけ、今度は現金輸送車の前輪のタイヤを銃で撃ち抜いた。

「ちッ・・・・・・。」

瑞冶は暴れるハンドルを何とか押さえ、横転するのだけは免れる。

「あ〜ぁ、止まっちゃったよ・・・・・囲まれるわね。」

そう静流がいった瞬間、止まった瑞冶と静流の乗る現金輸送車を様々な火器を持った

覆面の男達が囲む。

「どうするんっすか、姉御!?」

「ん〜・・・・・瑞冶に任せた!!」

「えぇ!!マジっすか!?あう、分かりましたから散弾銃をこっちに向けないでくださいっす、姉御・・・・。」

「よろしい、さっさと行ってきなさい。」

静流がバックの中に散弾銃をしまう。そして瑞冶は現金輸送車から降り、囲んでいる

覆面の男達の数を数える。

「ひぃ〜ふぅ〜みぃ〜ざっと十三人っすね。目的はお金っと・・・。」

瑞冶がそう言い、サングラスを外して懐から一丁の回転式拳銃を取り出す。

「S&W41マグナムモデル58・・・・俺っちの愛銃・・・あ、教えてあげたのは

冥土のお土産っすから。」

「そ、その黒ずくめの服装・・・・・まさか。」

「そのまさか・・・っすよ、俺っち達は蒼威警備のガーディアンっすよ。」

瑞冶はさり気ない動作で弾倉に入っていた弾を覆面の男達に向け

撃ち出した。

 

第二関東大震災・・・・大打撃を受けた東京は無法地帯となっていた。

自衛隊などが出動し一旦は平静を保っていたのだが、復興し始めた2070年ごろ

から銃犯罪は急増、拳銃からライフルまで使用する犯罪者まで急増していたのだった。

国は警官や自衛隊に銃携帯を指示したのはもちろんのこと、一社の巨大な警備会社にも

銃器を提供した。その警備会社の名は蒼威警備保障・・・・・警備現場社員をガーディアンと呼んだ。

 

GUARDIAN  Bullet

【LOAD1 酒はほどほど、喧嘩もほどほどに。】

 

 

 

「はい、静流さんと瑞冶さんの今月の給料です。」

羅蒼警備保障社員用受付・・・・・・受付嬢が営業スマイルで厚い封筒を瑞冶に、薄い封筒を静流差し出す。

「ありがとうっす♪」

「ってちょっと何で私の給料袋はこんな薄っぺらで瑞冶のはあんな厚いのよ!!」

給料袋を持って嬉しそうにする瑞冶を指差し、静流は受付嬢に詰め寄ると、受付嬢

は営業スマイルを崩さないまま明細を見る。

「え〜と

内容としましては犯人の車を横転させ、信号やガードレールが破壊されたためそれの修理、

巻き込まれた一般車への被害の補償、無駄に使用した弾薬代、などなどエトセトラ、エトセトラ・・・・・・。」

「うっ!!」

「以上の遂行した仕事の損害のほとんどが静流さんが原因という事で、

近田部長から静流さんの給料から差し引きの指示が出ましたのでご了承を。」

静流はダラリとうな垂れ、唸る。

「うぅ・・・・・・狐目部長めぇぇぇぇ」

「アハハハ〜給料っす、給料っすよぉ〜♪」

「お前もやかましいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

静流は給料袋を持って嬉しさのあまり変な踊りを踊っている瑞冶にドロップキックをみまう。

「瑞冶君に八つ当たりですか。やれやれ・・・・。」

その声と共に静流の後ろに30代の黒髪狐目の男が微笑みながら立っている。

「げっ!狐目部長!!」

「あ、近田部長、ご無沙汰してまッす。」

「ご無沙汰、瑞冶君。静流、諦めて一ヶ月一万円生活でもしなさいな。」

「あう、この上司最悪だわ・・・・。」

「ハハハハ、それじゃあ僕はこれにて失礼しますよ。」

そして近田は階段を上がっていってしまう。それを見た静流は瑞冶を振り返り

指を指す。

「・・・・瑞冶、夕飯おごりなさい!!」

「うぇ、なんでそうなるんっすか、姉御っ!?」

「しょうがないでしょう、私はしばらく節約しなきゃいけないんだから。」

「むむむむ、ラーメン一杯だけっすよ。」

「大盛り、チャーシュウ増量ね。」

「遠慮が無いっすねぇ〜シクシク。」

 

 

 

 

ラーメン屋のドアを開けて静流とちょっと薄くなった給料袋を悲しそうに見つめながら

瑞冶がでて来る。

「ふぅ〜食べた食べた、満腹よ♪」

「結局4杯も食べたっすね、姉御・・・・・うう、さっそく給料が減った・・・。

いろいろ使おうと思ったのにぃ。」

「男がそんなチミチミしないの。・・・・ん?」

何かに気づいたように静流が立ち止まり、給料袋を見ていた瑞冶がその背中にぶつかる。

「姉御、いきなり止まらな・・・・・・・。」

「しっ!」

静流が瑞冶に黙れの合図を送り、瑞冶が黙ると遠くから乾いた何かが弾けるような音が

聞こえてくる。

「これは・・・・・銃声っすね。また強盗犯の襲撃っすかねぇ〜」

「これは面白そうね・・・・・いくわよ瑞冶!!」

「ふえ、いくって、ちょっと姉御ぉ!!」

一目散に銃声のする方へ走っていく静流を瑞冶は追いかけていった。

 

 

 

「おっ!やってるわねぇ〜、警官二人に強盗六人か。」

「こりゃ〜警官ピンチッすね。」

マシンガンなどで武装した強盗と輸送車を盾にしてそれに応戦している警官の現場だった。

その現場をこっそり影から静流と瑞冶は見ていたのだった。

「どうするんっすか?俺っちも姉御も勤務時間外っすけど。」

「こんな面白そうなのに乱入せずにはいられますかっとね♪」

「やっぱそうなるんっすね・・・・ガックリ。」

嬉しそうに静流は銃撃戦の現場に走りこみ強盗犯の一人を蹴り飛ばす。

瑞冶はその後を追い、そのまま警官の一人に合流する。

「なんだ、お前らは!こんな所に来たら危険だぞ!!」

「大丈夫っすよ、荒事好きとその子分が来ただけっすから。」

「?」

瑞冶の言葉に警官は首を捻って不思議そうに静流の方に視線を向けた。

 

「さてと、ここからは私がお相手するわよ、強盗さん方。」

強盗と静流との距離はおよそ10mほど・・・静流がゆっくり強盗のほうに歩き出すと

強盗達は一斉に静流に銃を向け発砲する。静流はコートの裾を持ち、盾の様に前方に広げ

るとそのコートに当たった銃弾が衝撃を吸収されボロボロと地面に落ちていく。

そして背中に背負っていた長細いバックから空いている手で散弾銃を取り出し強盗の

一人を撃ち、吹き飛ばす。そして散弾銃を縦に振り、排莢しもう一人の強盗を撃つ。

「チッ、たかが強盗のクセに防弾ベストなんて贅沢じゃないの。」

散弾銃の弾を体に受けて吹き飛んだ強盗からは血が出ておらず、うめき声を上げてうずくまっていた。

 

 

「何だ、あれは?」

警官の質問に瑞冶は笑いながら答える。

「あれは炭素系繊維を使った防弾生地使用の羅蒼警備保障特製コートっすよ。」

羅蒼警備会社?高級官僚や外国のVIPから現金輸送車まで、さまざまな護衛を勤める

警備会社の?しかも唯一銃器携帯が許可されている民間警備会社。」

「そうっすよ、俺っちも姉御もその社員っす。」

「そうか・・・・・・。」

「やれやれ、強盗さん方はあんなのまでお持ちっすか。」

見ると強盗の一人がグレネードランチャーを構えている。瑞冶は懐から

マグナムを取り出し、撃つ。撃ちだされた銃弾は寸分違わず強盗の構えたグレネードランチ

ャーの発射口に飛び込む。そしてグレネードランチャーが暴発し、それを持っていた強盗

は腕を吹き飛ばされ、体ごと後ろに吹き飛ぶ。

「ビンゴ♪命とらなかっただけ感謝するっすよ。」

その銃の腕に警官はただ呆然と見つめていた。

「ったく・・・・・余計な真似しなくていいわよ、瑞冶。」

そう言いながら散弾銃を肩に乗せ静流が瑞冶と警官の方へ歩いてくる。後ろでは

強盗犯が全員倒れていた。

「あ、警官さん後は任せたからよろしくっす。」

「よろしく〜、さぁ酒飲みに行くわよ瑞冶。」

「うえ、割り勘っすよね?」

「瑞冶の奢りに決まってるじゃない、さ、行くわよ。」

「そんなぁ〜姉御ぉ〜。」

静流は散弾銃をバックに収め、瑞冶は懐にマグナムをしまい、歩いていってしまった。

 

 

 

翌日の朝

「うう、頭痛いわ〜、ウプッ・・・・・気持ち悪い・・・・。」

「昨日調子乗って飲みすぎるからっすよぉ〜。」

静流と瑞冶は羅蒼警備本部の通路を歩いていた。

「うっさいわねぇ〜耳元で言わないでよ、頭に響くわぁ。」

「うう、俺っちの給料を消費したくせにぃ〜」

そんな会話をしているうちにある部屋の前にたどり着く。

「失礼するっすよ〜。」

瑞冶がドアを開け入り、静流が頭を押さえながら入っていく。

「で、何の用?狐目部長・・・・私は今日、とっても気分が悪いんだけど。」

「おやおや、酒の飲みすぎはいけませんね。」

瑞冶と静流の目線の先には高級なイスに座り机に肘をついて座っている近田の姿。

「お仕事っすか?」

「おっ!察しが良くていいですね瑞冶くん。その通り、護衛の任務ですよ。」

「はぁ〜、護衛対象は?」

諦めたように言う静流に近田はニコリと笑い“お入りください”というと

先ほど静流達が入ってきたドアから一人の男が入ってくる。

「あれ、アンタは。」

「昨日の警官さんじゃないっすか。」

「水沢巡査、最近の銃犯罪の増加にかんして捜査するそうなんですが危険なので

護衛して欲しいという事です。」

「水沢巡査だ、宜しく頼む。」

水沢は静流に右手を差し出す。

「ちょ、ちょっと待ってよ。警官なんだからお仲間がいるでしょうが!」

「そうっすよ、なんでわざわざ民間警備会社になんか・・・・。」

そう言われた水沢はバツが悪そうに左手で頭を掻いた。

「いや、な、捜査員俺一人なんだ。根が深そうだからよ、この案件。

みんな捜査中に殺られるんじゃないかってビビッちゃってな。」

その言葉に続いて近田もいつもの微笑と共に口を開く。

「まぁ、彼の依頼金少ないんで、我が社としても静流と瑞冶、二人しか貸し出せませんけどね♪」

『何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』

今後起こることを予言するかのような静流と瑞冶の叫びが近田部長の部屋を超え朝日の差す外までこだましたのだった。

 

 

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