GUARDIAN BULLET

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【LOAD2 パーティは賑やかに・・・。都庁ではお静かに・・・・。】

 

 

 

 

「これで取引完了だな。ほれ、金だ。」

スキンヘッドの男がアタッシュケースを差し出すと仮面を被った男がそれを受け取る。

船の警笛がそこに鳴り響く、空は黒く太陽が落ちており波の音は静か。

二人のいる場所は埠頭。

『確かに受け取った。今後の君たちの行動に関して私達は一切関知しない。よろしいね?』

「ああ、構わない・・・・にしても前金はこんなに少なくて良いのか?」

『大丈夫だ。それに詮索はしない約束だったはずだ。では例の宝船が着たら物と金を交換だ。』

そう言って、

仮面の男はスキンヘッドの言葉を聞かず。アタッシュケースを持って闇に消えていった。

 

 

 

 

「で、当てはあるわけ?水沢巡査殿?」

迷う様子もなく夜のお台場を歩く水沢の後ろを静流と瑞冶がついて行く。

「まさか徒歩でしらみつぶしに捜査するって訳じゃあないっすよね?」

「大丈夫だ、あてはある。」

水沢は一度足を止め振り返り、二人を見る。

「そんな事よりだな・・・・・・。お前ら、その黒スーツに黒コート・・・・それに悪趣味なサング

ラス何とかならないのか?それじゃあ見た目が本当に怪しい人物にしか見えんぞ。」

「そんな事いってもね・・・・・これが制服なんだからしょうがないわ。」

「そうっすよぉ〜、それにこの制服はそんじゅうそこらの服に比べりゃ高性能で。」

「もう、いいさ。」

そんな会話をして歩いているうちに視線に球体の展望台がある建物が入る。

「フジテレビっすね。見学したいっす!!」

「瑞冶、餓鬼じゃないんだから我慢しなさい!」

「でも〜姉御ぉ〜」

「ほら、見えたぞ、あれがあてだ・・・。」

水沢の指差した先には派手なライトアップのされている巨大な豪華客船が見えていた。

「日本とアメリカのある企業の共同出資、共同保有している豪華客船だ。あれが日本に

来航している時に銃器犯罪が増加する傾向がある。」

「なるほどね、あの船が日本に銃器を大量に持ち込んでいると睨むわけか・・・。」

「客船だからチェックも甘いっすね。しかもあの客船・・・・世界のVIPがよく利用する

船っすので余計監査も甘くなる・・・敵ながらあっぱれっすね。」

「そう言う事だ、ちょうどパーティが開かれていて潜入できるはずだ。

あの中に潜入したらいつ狙われるか分からんからな、しっかり護衛を頼むぞ。」

「あんまり気乗りしないわねぇ〜」

「お仕事ッす、わりきるっすよ姉御。」

そして三人は豪華客船の停泊している港に向かって歩いていった。

 

 

「残念ながら招待状が無い方は乗艦できませんのでお引取りください。」

「は?」

「え?」

「あら?」

タキシードを着た受付の男性の言葉にそれぞれ疑問の言葉を出す。

その後、ガードマンらしき大男二人に掴まれ、三人は退場させられる。

「アンタ、なんで船内に入るつもりでいるくせに招待状も準備して無いのよ!!」

「しょうがないだろう、今日は国のVIPやら各企業のお偉いさんだけの豪華パーティなんだ、

平警官の俺がそんなもの貰うわけ無いだろ!!」

「ちょ、ちょっと姉御も水沢さんも、落ちつくっすよぉ〜!!」

水沢の胸倉を掴んで水沢を振り回す静流を瑞冶がなだめようとするが、静流はやめようとしない。

「この無計画警官めぇ〜、依頼金もらってるから帰れない私の立場を分かってんの!?」

その時三人の傍に黒いベンツが突然止まり、後部席の窓が開く。

「どうしたんだ、静流君、瑞冶君まで?」

「・・・・社長?」

「おう、で、何やってんだ?」

そう言って後部席の窓の奥には初老で顎に髭を蓄えた男・・・・・蒼威警備保障社長が不思議そうに驚いた顔の三人を見つめていた。

 

「なるほどな、その件なら問題ない。」

「へ?なんでっすか?社長。」

車を降りた社長はブランド物のスーツの内ポケットからある封筒を取り出す。

「それは・・・!?」

「パーティの招待状、俺も一応巨大企業のトップだからなぁ。俺の連れだと言えば入れるだろ。」

「社長さすがね♪最高!!」

静流が調子よく社長に抱きつくが、社長は一旦静流を引き離し、体の下から上まで見つめ、苦笑する。

「ただし、その格好はまずいな・・・依頼人の水沢さん・・・でしたかな?貴方もそんな安物のスーツではね。おい、江口君。」

社長が叫ぶとリムジンの運転席の窓が開き一人の男性が顔を出す。

「何でしょうか、社長。」

「予定変更だ、寄り道するぞ。」

“わかりました”と言って窓を閉じると社長は三人を車に促す。

「まずは衣装からだ・・・・乗れ。」

江口の運転するリムジンは社長を含めた四人をファッションブランドの直営店に運び

パーティ用の衣装を揃える。そして再びパーティ会場へ向かう車内、全員が衣装を着てい

る。静流は肩の出ている赤いドレス、瑞冶と水沢はタキシードに身を包んでいた。

不意に社長が口を開く。

「水沢さん、君は最近の銃犯罪増加について捜査してるんだね。」

「ええ、しかし身の安全のために御社に護衛を依頼して現在に至ってます。」

「正直言うとだね、私は銃犯罪・・・増えてくれた方が経営者としては嬉しいのだよ。

そうだろう、事件が多発すれば誰もが警備会社に依頼をしてくる・・・・・・。」

社長のその言葉に車内が無言とともに重い空気に飲み込まれる。

「とは言いつつも俺にも家族がいる・・・平和な日常が欲しいものだ。

頑張ってくれたまえ、水沢さん。いつでも協力するぞ。」

「ありがとうございます。」

社長と水沢が堅い握手を交わし、十数分後・・・・車は先ほど静流達が門前払いされた

パーティ会場の豪華客船に到着する。

「到着しました、社長。」

後部席のドアを開け、江口が言うと社長を先頭に全員が下り、会場に向かう。

その後姿を見送りながら江口は携帯を取り出した・・・・。

 

 

「そちらの方々は?」

「俺の連れだ、いいだろ?」

「それはそれは・・・・・・先ほどはそうとは知らず申し訳ございませんでした。どうぞ。」

受付の男は深く会釈をして会場に入るよう促す。そしてパーティ会場内に入ると

瑞冶が大声をあげ喜ぶ。

「うわぁ、ひさびさだけどすごいっすね!!」

「そうね、キャビアにワイン・・・・フフフ、美味しそうね♪」

「あう、姉御はやっぱり食べ物目当てっすか・・・・。」

慣れた様子の二人を見て水沢は傍らにいた社長に話しかける。

「あの二人、随分慣れてますね。」

「ま、俺がたまに連れてきているからな・・・・あいつらしっかりした格好すると

美男美女だろ、両手に花ってやつだ・・・。でもどうすんだい、この人数の中で不審な動きを

しちゃ〜すぐばれるぞ?」

「それは問題ないわ、私達が会場じゅうの目を引いてあげる・・・。」

静流と瑞冶が自信たっぷりに笑う。

「しかしどうやって?」

「あれっすよ。」

瑞冶の指差した先にあったものは会場の中央で行われているダンスの会場だった。

パーティ会場内に流れていたダンス用の曲が終わったと同時に瑞冶と静流はダンス会場に

歩いていく。静流は適当な男性を見つけると、男性の前で会釈し、いつもではありえない

バカ丁寧な口調で話しかける。

「こんばんは、パーティ楽しんでいらっしゃいますか?」

男性が頷くと静流は営業スマイルを浮かべる。

「あの、できればでよろしいのですが私(わたくし)と踊っていただけますでしょうか?」

美人の部類に入る静流の申し出に男性はあっさりOKをだす。

同じく瑞冶も近くにいた女性にお辞儀をして笑顔を浮かべる。もちろんいつもの口調は封印。

「失礼・・・・ご婦人、僕と踊ってはいただけないでしょうか?」

女性も赤くなりながらOKをだすと瑞冶は右手を差し出し、女性が右手を握ると

ダンス会場に誘導し、指をパチンと鳴らせ叫ぶ。

「曲、頼むよ!!」

すると曲が流れ出し、ダンス会場の男女が一斉に踊りだすが、

「ずば抜けて踊るのうまいですね、あの二人・・・・。」

「そうだろう、いつの間にやら覚えてな。プロ並みにまでなってしまったよ。」

静流の軽やかなステップや瑞冶の力強い動きに会場中の目が向く。

そして曲が終盤に差し掛かったころ社長は水沢を呼び、ある扉を差す。

「おそらく客室やこんな会場には君の捜している物は無いだろう、となれば船倉しかない。

あの扉から船倉に行けるはずだ。この曲が終わったらすぐにあそこに入れ。」

「わかりました。」

水沢は懐に隠してある銃を確かめ頷いた。そして曲が終わると同時に会場にいた男達は

静流へ、女達は瑞冶へ一斉に群がりダンスを申し込もうとし大混乱に陥る。

その混乱に乗じて水沢は扉の中に消えていった。

 

 

 

「さぁ〜てどうすっかな?」

作業員から身を隠しつつ薄暗い通路を歩いていた水沢だがすぐに

ある部屋を発見する。その部屋は指紋認証や網膜認証、声紋認証まである厳重なロックの

かかっている部屋だった。

「おそらく下手に手を出したら警報ビンビン、武装警備員ゾロゾロだし、

下手に警察だと名乗り出るのも危険が大きいか・・・・・。」

『何をしている?』

その声と共に水沢の背中に銃が突きつけられる。視線だけを後ろにずらすとそこには仮面を被った作業服の男が立っていた。

「いや、便所行こうとしたら迷っちまってな。その物騒なもん下ろしてくれないか?」

『お前、ウソが下手だな、どこのスパイかは知らないが消えてもらうぞ。』

「チッ!!」

水沢は後ろ蹴りで仮面の男の腹を蹴り姿勢を低くすると仮面の男の放った銃弾が頭を掠め

る。水沢はそのまま仮面の男の足をすくい、倒れさせ一気にその場から走り去る。

「大丈夫なのか?」

水沢の走り去ったのを黙って見送った仮面の男の傍からスキンヘッドの男が出てくる。

『ただのパーティ客・・・・・・・ではないだろうが問題は無いだろう。ただ少々計画は変更する予定がありそうだ。』

 

水沢は後方に警戒しつつ一気に階段を上がりパーティ会場に戻り贅沢な料理を食べまくっ

ている静流の横に立ち、耳打ちする。

「マズッた、一人に見つかった・・・・。」

「ふぁ、ふぁんでふって!?」

「あ、いや飲み込んでから反応してくれていいぞ、追跡されてなさそうだし。」

飛んでくるものを手で防ぎながら言うと、静流はワインで口の中にあるものを

流し込み睨みつける。

「なにやってんのアンタ!せっかく踊りたくもない坊っちゃんどもと踊ったりなんだり

で目を引いてあげたのに・・・。」

「まぁそう睨むなよ、この船に銃器が積まれているのは確信できた・・・あとは張り込むだけだ。」

「おっ!張り込みかぁ、面白そうだな。」

『うわっ!!』

二人の後ろにはいつの間にやら社長が立っていたので驚きの声を上げる。

社長は子供のように目を輝かせていた。

「そういうことならさっさとこのパーティからオサラバして外の車で待機だな♪

さぁ、水沢さん。静流君、瑞冶君を呼んできたまえ。」

他のパーティ客が見ているのも気にせずに大声で笑いながら会場を後にする

社長を水沢が追いかける。その姿を見た静流は一言。

「私達はただの警備会社の社員・・・・警察官じゃない・・・・わよね、はぁ・・・・・・。」

そして女性と話していた瑞冶の服の襟を掴み引きずりながら社長と水沢の後を追った。

 

 

 

「ふぅ・・・・やっぱいつもの服装の方がシックリ来るわぁ〜。」

「そうっすね・・・・。」

社長の車の中、いつもの服装に着替えた三人と社長が座っている。運転席には江口が

スタンバイしているが、社長はため息をつく。

「まだ動きが無いのかね・・・・。」

「社長、普通張り込みは3日以上覚悟でやらなくてはいけないんですよ。」

そう水沢が言った瞬間、江口が叫ぶ。

「皆さん、客船から複数のトラックが出てきています、どうしますか。」

「つい・・・・」

「江口君、追跡だ!!!早く車を出したまえ!」

水沢が言おうとするのを社長が遮り叫ぶ。

そしてトラックの列のあとを車間をかなり開けて走り、十数分・・・・・。。

「今どこに向かってるの?」

「この方向だと有明コロシアムです・・・・・ん?」

追跡していたトラック3台が一列走行から道一杯に並行して走行し、トラック全ての荷台

が開く。そして現れたのは・・・・・銃を構えた覆面を被った集団。

「罠っ!?」

静流が叫んだ瞬間一斉に覆面の集団が追跡していた静流達の乗っている車を銃撃する。

「うわぁ、撃ってきたっすよ!!」

「防弾車です、問題ありません。」

江口は至って冷静に言い何事もなかったかのように運転する。

覆面の男達は静流達の乗る車が防弾車だと気づき銃撃をやめて、銃を下げる。

「ん?あきらめたんっすかね?」

「・・・・・・違うわ!!RPG!!」

江口はすぐさまハンドルを切るが、RPGは発射され直撃はしなかったものの

後部のタイヤが衝撃で吹き飛び、車が急停車する。

「ったく、行くわよ瑞冶。」

「了解っす。」

「ククク・・・・・。」

銃を持ち車を出ようとする静流と瑞冶はその不気味な笑い声を聞き動きを止める。

その笑いの主・・・・社長はパーティの時の笑いとは違う残虐な笑い。

「身の程知らずのカスどもが・・・・・誰の車を撃ったか分かっていないようだねあの覆面の集団は・・・・。教えてやりたまえ、江口君。」

「了解です、社長。」

そしてユックリと江口が運転席から降りる、服装は静流達と同じ服装だ。

それと同時に覆面の男達も銃を構えて取り囲んでくる。

「ちょっと待て、たとえ社員とはいえアイツはたかが運転手だろう!?

しかも一人じゃ無理だ。」

「まぁ江口がでるなら大丈夫ね。」

「そうっすね。」

水沢が言うが、静流と瑞冶は納得したように席に座り直す。

水沢は心配そうに江口の背中を見送っていた。

 

 

江口はゆっくりと覆面の男に歩み近寄る。手には何も武器を持っていない。

目を一度閉じ目を開けた瞬間服の両袖から銃を取り出し撃つ、銃を持っていないと油断

していた覆面の男達は不意を突かれ、江口の放った銃弾で二人が撃ち抜かれる。

やっと反撃に移り一斉に江口に銃を撃つが江口は防弾コートをひるがえして防ぎ

一気に覆面の男達に突っ込む。そして一番近い覆面の男の懐に飛び込み0距離で銃弾を

撃ち込み、横から放たれた銃弾を撃ちぬいた覆面の男の体を盾代わりにして防ぎ、そのま

ま投げつける。投げられた仲間の遺体を除け、再び銃を構えた覆面の男の視界一杯に江口

の踵が迫る。顔面を潰された覆面の男が倒れると止めとばかりに江口は男の首を踏みつけ折る。

そして振り向きざまに銃を連発で撃って覆面の男達のうちの数人の頭を的確に撃ちぬく。

 

「す、すごいな・・・・あいつは・・・・。」

「人間なのか?っすか。まぁ初めて見る人は誰でもそう思うっすね。」

思わず震えながら口を開く水沢に瑞冶が苦笑を浮かべる。

静流は“あれくらい実力もって無いと社長の専属運転手にはなれないわよ”と言い

窓を開けて戦闘を繰り広げている江口に向かって叫ぶ。

「江口〜!!一人は生かしといて!!あとで尋問するから。」

江口が“了解”とでも言うように銃弾の嵐の中右手を上げるのを確認すると

車内に戻る。

「ふ〜む・・・・。」

とても深刻そうな顔をして唸っていた社長に車内の全員の視線が向く。

「どうしたんっすか、社長?」

「いやな・・・この車を修理に出そうか新品買おうか迷っているのだよ。君達は

どっちがいいと思うね?」

その言葉と共に水沢や静流、瑞冶は命より車の事を考えていた社長に呆れていた。

その時だ、“ドン”という音と共に静流達の乗る車のボンネットに覆面の男の一人が叩きつけられる。

「そろそろ終わったみたいね・・・・・。」

静流や瑞冶、社長が車から出た後に続いて降りた水沢はその光景に目を疑った。

戦闘により破壊されたトラックから煙が上がり、その場には血と硝煙の匂い、

なにか化物が食い散らかしたような死体の数々・・・・と中心に血まみれの江口の姿。

「う・・・ぁ・・・・。」

車のボンネットに叩きつけられていた覆面をつけた男だけが生きていた。

「さぁ〜て、いろいろ吐いて貰うわよ・・・・、ってあれ?」

静流が胸倉掴んだ瞬間に男は力尽き、動かなくなった。江口が静流達の所に歩いてくる。

「ちょ、ちょっと江口やりすぎよ!!尋問できないじゃないの!」

「すいません、ちょっと熱くなり過ぎました。」

手についた血をポケットから取り出したハンカチで拭きつつ謝罪する江口に静流はため息。

「まぁやっちまったもんはしょうがない、警察と代わりの車を呼んでたったと帰るぞ。」

社長はそう言い携帯をかけはじめる。

「で、どうするっすか?きっとこいつらは囮兼処理役でしょうから、水沢さんが睨んでい

た物はきっともう運び出されてなくなってるっすよ。」

「・・・・・・そうだな・・・・クソッ。」

水沢は夜空を見上げながら唇を噛んだ。

 

 

 

 

 

 

そのころ新宿中央通り・・・・・大型トラックが数台走る。先頭の一台の助手席にはスキンヘッドの男。

「この取引が終われば準備は調ったも同然だ・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・。』

トラックを運転する仮面の男とスキンヘッドの男の目線の先には、特徴的な東京の行政の中心建築物があった。

 

 

 

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