第十三話 運命の女神達

第十三話 運命の女神達

 

 

 

「にしても甞めてるよな・・・・フレイって奴。」

「そうね・・・第十三艦隊が接触しようとしたら問答無用に通信でナル大佐ご指名。

接近する艦を白燈に限定、それ以外の艦が接近したら迎撃するって・・・フレイって奴は大層

なご身分だわ。」

宇宙に浮かぶ巨大な球体・・・・

フレイを映すメインスクリーンを見ながら腕を組みヨウが呟くとクリスがやれやれと言った表情で同意する。

第十三艦隊とフレイがにらみ合って数時間が経過していた。

そんな中、いつもだったら一番に不満を口にするはずのカジが真剣にメインスクリーンを見つめている。

「大佐・・・大丈夫かな?」

「あららぁ〜、カジがそんな心配するなんてどういう風の吹き回しかしらねェ〜。」

「ばっ、バカいってんじゃねぇよ、クリス!!」

クリスに茶化されたカジが顔を赤くして反論している光景を見てヨウは苦笑する。

「やれやれ・・・・・なぁレナス・・・フレイってどんな奴なんだ?」

ヨウの質問に、最近は少しずつ感情を出すようになったレナスが怪訝そうに眉間に軽く皺を寄せる。

「なんと言えばよろしいのでしょうか・・・マスター達のお言葉をお借りするのでしたら・・

“女好き”でしょうか・・・・・。」

『はぁ!?』

レナスの言葉にその場にいたクリスやカジ、ヨウは声を上げた・

 

 

「大佐・・・本当に大丈夫ですか?」

白燈のハッチの前で着ている宇宙服の最終確認をしているナルを老練な副官が心配そうに

見つめる。この副官はナルがまだ一艦長だったころからの古株でナルの一番信頼している部下だった。

「大丈夫ですよ・・・艦をお願いしますね。」

真剣なナルの眼差しを見て副官は無言で了解の敬礼する。

それを見たナルはニコリと笑い、ヘルメットを被ってユックリと減圧室に入っていった。

フレイは白燈を自分のドックへと向かいいれると、下船するのをナルだけとした。

副官などは護衛部隊も連れて行くべきだと提案したがナルは首を縦には振らなかった。

 

ナルは減圧室の中でユックリと目を瞑り様々な思考を巡らす。

 

フレイは私を殺す?

 

NO

 

だったら艦ごと撃沈させればいい。

 

私を人質に?

 

NO

 

そんな事をする必要はない、いや理由が見つからない

 

指揮系統を奪う?

 

NO

 

これも無駄、私が居なくなっても他の指揮官が後任に着く。

 

では何故?いや、こんなことを考えてはいけない。

私はフレイとのコンタクト・・・これを命かけて遂行しなくては・・・・・・・・・。

“俺たちはみんな生きて帰らなきゃ嬉しくても素直に喜べないんだからさ。っつうかナル大佐に生きててもらわないと悲しいしさ。”

ふと思い出したカジの言葉に、緊張と不安が解されていくのが分かる。

ナルは口元に笑みを浮かべながらユックリと目を開ける。それにあわせる様に減圧室の完

了をブザーが知らせる。

ナルが開閉スイッチを押すと重たい音と共にゆっくりと外へのハッチが開き、

ナルはユックリと床を蹴って外へと飛び出した、そう、フレイの内部へと。

 

 

 

 

 

そのころ・・・・月基地からの通信にヴァルキュリアの操縦室は焦燥の雰囲気に包まれていた。

「地球に再び敵艦隊接近・・・・ソーバルを中心に迎撃を開始している。

コンタクトは他の十三艦隊所属艦に任せ、ヴァルキュリアは至急月基地へ帰還せよ・・・だそうよ。」

「俺は反対だぜ、大佐が危険をかえりみずにコンタクトしているってのに俺らだけ転進なんて俺は認めねェ・・・・。」

ヨウは腕を組みながらレナスに視線を移す。

「レナスはどう思う?」

「冷静に考えればマスター達の本拠地である月基地が危険に晒されているのですから

すぐにでも月基地に向かうべきです。

しかしそれが簡単に出来ないのがマスター達、地球人です。」

「ハハハ、レナスも言うようになったね。でも今回俺は艦長として前者を取るよ。月基地に帰還する。」

「ヨウ!!おめぇ大佐が心配じゃねぇのかよ!!」

「なぁカジ・・・・・。」

「なんだよ。」

ヨウは一旦目を閉じ、そして開けてカジを力強く見つめる。

「大佐を信じよう。大佐はこんな所でくじけるような人じゃないだろう?」

「だけどよぉ!!」

「大佐がこの場にいたらヨウと同じような指示を出すと思うわ。行きましょう、ね?」

頭を冷やせとでも言うかのようにクリスがカジの頭を軽く叩くとカジは無言でガンナーシートに座る。

「これよりヴァルキュリアは月基地の本隊と合流し、敵艦隊を迎撃する。」

「了解、本隊に通信を送っとくわ。」

「・・・・了解、戦闘体制整えておく・。」

ヴァルキュリアはユックリと転進し月基地へと向かっていった。

 

 

 

その頃・・・・月軌道上。

「ど、どうしよう!!の一撃で第三艦隊壊滅!!!第四艦隊も半数消失!!」

ソーバル操縦室でバルドルが悲痛な報告をするとトールは壁を力いっぱい殴る。

「チッ・・・敵になっていたとはな・・・アーリィめ!!」

ソーバルのメインモニターに映っていたのは外装の色は違うもののヴァルキュリアと瓜二つであった。

蒼く輝くその姿を見つめながらミズキは口を開いた。

「グダグダ言わない・・・ヴァルキュリアが来るまで戦線を保つのよ。はいはい、怯んでないでじゃんじゃん砲撃する。」

ソーバルに装備されている武装がユックリと動きだし敵にその砲身を向ける。

「蒼いヴァルキュリア・・・いいえ、運命の女神三姉妹、長女・・・アーリィか・・・・。」

ミズキは煙草に火をつけながら呟いた・・・。

 

 

第十四話

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