PHASE-06「意味を知る時」

PHASE-06「意味を知る時」

 

 

 

 

 

 

「彼が今回特殊MS部隊に配属になったウォーズガンダムのパイロットの・・・・・・。」

シーサ・センザキで〜す、よろしく♪食べ物の好き嫌いはなぁ〜し!!」

『・・・・・・・・・・・。』

ノインに呼ばれブリーティングルームに集められた特殊MS部隊の面々は

シーサと名乗った青年の自己紹介にげんなりしている。

ルドルフが口を開く。

「なぁ、エリシアさん。ここって高校のクラスかぁ?」

そう、まるで転校生が高校に来て自己紹介をしている雰囲気がブリーティングルームに

に広がってるのだ。

「ん〜私もそんな感覚になってきたわ・・・・・・。」

ミルズも心中で頷いた。横を見るとキッカも同様らしい。

“ゴホン”と間を取りノインは再び話し始める。

「さて今回の作戦は追撃戦だ・・・・・ミネルバがガルナハンのローエングリンゲートを突破

した。これは喜ばしい事だがまだいち早く撤退した連合の勢力の一部が現在逃走中だ。

これを追跡する・・・・・敵はウィンダムを複数搭載した連合小艦隊・・・・・難しい任務ではない

が油断するなよ、以上作戦を開始する。各員MS搭乗を開始しろ。」

『了解。』

そして廊下に出るとシーサがミルズに話しかけてくる。

「おぉ〜い、ミルズっち!!」

「ミルズっち・・・って、変な呼び名で呼ばないでくれよ・・・。」

「まぁまぁいいじゃん、ドックまで一緒に行こうぜ!!」

歩きながらシーサは次々と質問をミルズにぶつけ、話はガルナハンの話にいたる。

「十機の連合MSを全滅させたんだって?すごいな♪」

「いや、まぁ必死でその時の事はあんまり覚えて無いんだけどな。」

「ふぅ〜ん、でちゃんと止めは刺したのかい?」

ミルズはその言葉に思わずシーサの顔を見る。その顔は先ほどの無邪気な笑顔とは違う

残忍な笑顔が浮かんでいた。

「いや、そこまでは・・・・・・・。」

「なぁ〜んだ、残念・・・・・・・・。」

「残念・・・・・って・・・・。」

シーサは本当に残念そうな顔をしながら言い、また先ほどの無邪気な笑顔に戻る。

「ま、いいや。んじゃ出撃後、会おうな。」

そう言ってシーサは自分の機体の所に走っていってしまう。

「・・・・・・・・・・・。」

ミルズは少しの間その背中を見送っていた。

 

 

 

『全機に通達、目標艦隊からウィンダムや空戦装備のダガーLが出撃してきている。

蹴散らして連合艦隊を止める、止まらなければ沈めるぞ。戦闘開始、散開!!!』

「了解!!」

そしてクロニクルは一気に敵MSの中に飛び込んでいく、がそれを追い越しウォーズガン

ダムが突っ込んでいく。

『おっさきに〜。』

そして大型ビーム砲やビームライフルで敵MSを貫く。

『まだまだ行くよぉ〜!!』

背部に装備されていたドラグーンシステムが稼動し、小型のビーム砲台が

ランダムな動きで敵MSを次々と破壊していき、一瞬にして敵MSの三分の一を撃破する。

「す、すごい・・・・・・・・。」

そうミルズが呟いた瞬間海面からビームがクロニクルに向け飛んでくる。

「なっ!!あれは前の!!」

『そうだよ、細っこいの!!』

クロニクルが回避した瞬間、水中から飛び出したディープガンダムにタックルされ、そのまま水中に引きずり込まれる。

「チッ!!」

『ヒャハハ、水中はディープの十八番だぜ!!』

ブースターを吹かし海中から抜け出そうとするクロニクルにトライデントランスの

攻撃を行い海中から出られないようにする。

『まだまだ行くぜ、細っこいの!!』

ディープガンダムの脚部に装着してある魚雷発射管から数発の魚雷が発射され、クロニク

ルに襲い掛かってくるのをシールドで防ぐと、その隙を突いて一気に接近されトライデント

ランスを振りかざされる。なんとかヒートソードで振り払い防ぐが、また魚雷が飛んでく

る。シールドで防ぎ、先ほどのように前方からディープガンダムが接近してくると予想し

ヒートソードを構えると前方にはその姿が無い。

「なっ!?」

レーダーがいつの間にかクロニクルの後ろにディープガンダムがいることを知らせる。

『終わりだ!!』

トライデントランスをクロニクルに突き刺そうとしたその時、無数のビームがディープに直撃する。

『チィ!!』

海中でビームの威力は軽減され撃破には至らないがディープは攻撃を中断され、隙が生まれる。

『ミルズっち、そいつを海中から空にぶん投げろ!!』

その言葉にミルズはクロニクルのブースターを一気に吹かせ、ディープガンダムを掴み、海面に向けて一気に上昇する。

『このっ、離せぇぇぇぇ!!』

「うぉぉぉぉぉ!!!!」

そして海面ギリギリで上空に向けて投げる。ブースターの勢いによりかなり高く打ち上げ

られる。態勢を直そうとしたディープガンダムだったが・・・・・・・・。

『これで終わりだよ、ディープちゃ〜ん!!』

そこにいたのは日本刀の形をした特殊なビームサーベルを構えたウォーズガンダム・・・・・・・。

『いやだ!!!やめろぉぉぉぉ!!!!!!!!』

『バイバイ!!』

ウォーズガンダムビームサーベルは空中で動きが取れないディープガンダムの上半身と

下半身を分断する。そして分断されたディープガンダムの残骸が海上にいた連合艦に落ち

連合艦ごと爆発する。

クロニクルが海中から出てくるとあらかた敵MSは片付いてしまっていた。

『一つ貸しね〜ミルズっち♪』

上空から援護してくれたのはウォーズガンダムだった。

「ありがとうな、シーサ。」

ノインから連合残存艦隊が降伏したという通信が入る・・・・・その時、

『降伏?んなもんあるわけ無いでしょ♪フフフッ♪』

その場のどのMSや戦艦も戦闘を止めていた中ウォーズガンダムがドラグーンシステムを

稼動させ、武装解除した連合艦隊をどんどん沈め、ビームライフルや大型ビーム砲で

敵MSを落としていく。

「やめ・・・・・・っ!?」

止めようとするクロニクルにウォーズガンダムはビームライフルを向ける。

『敵は殲滅あるのみだよ、ミルズっち。降伏なんていって不意打ち喰らったらだめでしょ?

連合はね、悪なんだよ、完全殲滅あるのみだよね、フフフフ。じゃますんなら、ミルズっ

ちも落とすよ?』

機体に乗っているとはいえ、シーサからは凄まじい殺気が放たれており本当に邪魔すれば

撃つのにためらいは無いだろう。

「だが敵とはいえ相手は同じ人間だ、死なない方がいいに決まって・・・・・。」

『あまい、あまいね。死んでいいか、死んではいけないか、殺していいか、殺しちゃいけ

ないかなんてそんなの役割なんだよ。ザフト軍兵士は正義の味方、連合は悪役なんだ。』

『そこまでにしておけ、シーサ・・・・・・隊長命令だ。』

クロニクルにビームライフルを構えているウォーズガンダム、その後ろでヴァルキリーガ

ンダムがウォーズガンダムにビームランサーを突き付けている。

『りょ〜かい、隊長さん、ちぇ・・・・・・・・。』

ウォーズガンダムはクロニクルに構えていたビームライフルを下ろす。

 

 

 

基地に戻ったミルズはシーサに詰め寄り胸倉を掴んで叫ぶ。

「どういうことだ!!降伏した連合艦隊は撃つし、味方にビームライフルを向ける!!」

「何度も言わせないでよねミルズっち。」

シーサは胸倉に掴みかかったミルズの腕を凄まじい悪職で掴み返た。

「連合は悪だ、それにね・・・・・・。」

ついにはミルズの腕を無理やりどかし、何故か微笑んで言った。

「殺らなきゃ殺られるんだよ、甘っちょろい考えなんか持ってたら死ぬよ、ミルズっち。」

そしてミルズの肩をポンポンと叩きドックから去っていく。

「あいつ・・・・・危険だな・・・・・。」

「先輩に・・・・味方に銃口向けるなんて信じられません・・・・・。」

ノインが歩いてきて言うと同じく歩いてきたキッカが言う。

ミルズは少し悩んだような顔をしながらシーサの背中を見送っていた。

 

 

数日後・・・・・・・。

ロシアにて巨大な連合のガンダムが暴れた事が知らされた。かなりの被害が出たらしい。

 

夜遅く・・・・基地近くの林の中・・・・・・ミルズは廃棄されたボロボロのジンの肩に座り、星を

見上げていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ。」

「先輩っ!!」

その声に視線を下に向けるとキッカの姿がそこにあった。

「そっちいってもいいですか?」

「いいよ。ほれ。」

上ってくるキッカの腕を掴み一気に持ち上げる。

「星・・・・・・・・・・・綺麗ですね。」

「そうだな・・・・・・。」

しばらく無言で二人は星を見上げる。ミルズが口を開く。

「ロシアの映像、見たか?」

「ええ、かなり被害が出ているようですね・・・・・・。」

「シーサの言っていた事・・・・・本当かな。」

ミルズはシーサの“連合は悪だ”という言葉が頭の中から離れないでいた。

「先輩はどう思ってるんですか?」

「え?」

キッカは邪魔な前髪を退かし、星を見上げながら言う。

「戦争に身をおく理由ですよ。私の家って昔からの軍人一家なんですけどね、父は前大戦

に参加するとき言ってたんです。“俺は家族を守るためにこの戦争に参加するんだ”って。」

「俺の親父より100万倍いい父親だな。」

「フフフ、そう言って貰えると前大戦で戦死した父も嬉しいと思います。」

ハッとなってミルズはキッカに頭を下げる。

「・・・・・・・・すまん。」

「気にしないでください、で、先輩はどうなんですか?」

「わからない・・・・・・・・ある人に意味を考えろといわれたけどダメだ。

正しい意味はなんなのか分からない。」

「そうですか・・・・・・でも正しい意味なんて無いと思いますよ。」

「え?」

「家族を守るため、悪を倒すため、自分の欲望のため・・・・・そして先輩みたいに“意味を探

すために戦う“・・・・・・・人によってそれぞれなんです、だからぶつかり合う、そう思います。」

「じゃあキッカはどうなんだ?」

「そうですね〜、父と同じように大切な家族や友人を守りたいって言うのもありますけど・・・・・・。」

「ありますけど・・・・なんだ?」

ミルズは星を見るのをやめ顔をキッカのほうに向けるといきなり唇に温かい物が当たり、

すぐ目の前にキッカの顔がある。そしてキッカはポンッとジンの肩から降りてまだ状況が

理解できていないミルズを振り返り笑顔を浮かべていった。

「戦場で戦っている私の好きな人を守りたい・・・・一緒にいたいと思ったからですよ♪」

そしてキッカは走り去ってしまう。取り残された形のミルズはまだ温かい感触の残る唇を触りながら呟いた。

「好きな人・・・・・・・・って俺のことか・・・・・・・?」

そう考えたミルズは一気に顔が赤くなり、バランスを崩して地面に落ちたのだった。

 

 

 

 

PHASE-07

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