PHASE-09「鎮魂歌」

PHASE-09「鎮魂歌」

 

 

 

 

「お前らには先行して宇宙(そら)に上がってもらうぞ。」

オーブに籍を移したミルズ達、元ザフト軍特殊部隊の面々がさっそく集められた。

慣れないオーブ軍の制服を着て並ぶミルズ達の前に立つ金髪の小柄な女性。

オーブの現指導者カガリ・ユラ・アスハ・・・・、カガリはミルズ達にそう言った。

「やはりジブリールを追って宇宙に。」

「それもあるが、議長の行動も気になるのでな、お前らには宇宙で待機してもらい

何か起きたときに対応してもらう。まずはオーブ所有の衛星に行ってもらう。」

『了解しました。』

「たのむぞ。」

カガリが一人一人と握手を交わす。そして去り際に“それから”と言い振り返った。

「宇宙(そら)でMSと新人を送るからよろしく頼む、ノイン隊長。」

「わかりました。」

そしてシャトルに乗り込み、発射のときを待つ。すると隣に座るキッカが

ミルズの手を掴み言う。

「これから私達、どうなるんでしょうか?やっぱりクルーガー隊長たちとも戦わなきゃい

けないんでしょうか・・・・・・・。」

「大丈夫だ、何があろうとキッカや仲間は守って見せるさ。」

キッカにそう言って微笑み、そして窓から、しばらく見れないだろう地上の景色見て

呟いた。

「絶対この景色をもう一度見てやるさ・・・・・・・・・・・・・・・。」

そしてシャトルが飛ぶ・・・・・・・・どんどんと地上から離れ建物が小さくなっていく。

しばらくして大気圏を抜け、宇宙に飛び出したシャトルの艦内にいきなり警報が鳴り響く。

「なんだっ!!」

『連合のMS小隊接近中!!!』

艦長の艦内アナウンスに外を見ると遠くから四機のMSが接近してくるのがわかった。

「俺たちのMSは出せないのか?」

操縦室直通の回線でノインが提案するが“ムリだ”の一言で片付けられてしまう。

その時だった、別の方向から一機のMSが出現し、連合MS小隊に突っ込んでいき

次々と撃破していき、全滅させた。

「な、あれもガンダム?」

そう、見た目はガンダムなのだ。しかしミルズの見たことの無いガンダムだった。

『大丈夫か、ミルズ、キッカ?』

その通信にミルズはハッとなった、聞き覚えのある声だったのだ。

「クルーガー隊長!?」

『あぁ、まぁ話は後だ、衛星まで誘導する。』

そしてオーブ所有の衛星にシャトルは向かっていった。

 

シャトルから降りたミルズとキッカを迎えてくれたのはクルーガーともう一人。

「よう、ミルズ。」

「ウィリス、お前も何でここに!?」

「お前と同じ理由だよ。また一緒に戦う事が出来て嬉しいぜ。」

そんな友情の復活の光景の横で衛星に運ばれてきたクロニクルの足に抱きつく

一人の老人。

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!わしのクロニクルちゅぁ〜〜〜ん♪」

老人はそのまま顔をクロニクルの装甲にくっ付け喜ぶ。

「宇宙(そら)に上がってすぐにそのキモイ行動見せんじゃねぇぇ!!!」

「はべしっ!?」

ミルズの蹴りで老人・・・・クロニクルの開発者であるミルズの父が吹き飛ぶ。

「お前・・・久々の父親との再会に蹴りとは何だっ!?」

「じゃあまともな行動しやがれってんだ!!クソジジイ!」

その光景を見てキッカが苦笑を浮かべる。

「なんか先輩、父親さんの前だとテンション高いですね。」

「昔からだよ・・・。」

ウィリスは深く頷いた。

 

その後、クルーガーに別のドックに案内されたミルズ達は目の前にある巨大な赤い物体を見上げていた。

「これは・・・・・・・新型戦艦、ですか?」

そう呟いたミルズの前にオーブの軍服を着た一人の女性が立つ。

「そうです、オーブ軍クレナイ級一番艦“クレナイ”(紅)・・・あなた達がこれから

乗り込む艦。ようこそクレナイへ、艦長のエレル・クレイムです、よろしくミルズ隊長。」

ミルズに手を差し出すエレルにミルズは慌てる。

「あ、いや俺は隊長じゃないですけど・・・・・・・。」

「あら、その方が貴方が隊長だと・・・・・。」

エレルの指差した先にはニヤリと笑ってたたずむノイン。

「俺たちを巻き込んだのはお前だ、ミルズ。お前がこれからは隊長をやってもらうぞ。」

「なっ!!」

すかさず反論しようとするミルズを他の特殊MS部隊の面々が遮る。

「先輩・・・・いえ、これからよろしくお願いします、ミルズ隊長!!」

「まぁ・・・・・メンドイし俺以外なら別にいいさ。」

「頑張りなさい、応援するわよ、ミルズ隊長♪」

ガックリうな垂れたミルズは諦めたかのように力なくエレルの手を握り返す。

「そういうことで俺が隊長のようです・・・宜しくお願いします、エレル艦長。」

そしてそのクレナイに搬入されている、ミルズ達を軌道上で助けたガンダムをクルーガー

は指差し説明する。

「で、あれが俺の新MS【ネオテニーガンダム】だ。これから俺もお前の部隊に

入ることになる、宜しく頼むぞ・・・・いや、宜しくお願いします隊長。」

「この部隊、なるべく敬語は使わないがモットーなので敬語をムリに使わなくてもいいん

ですよ。私みたいに敬語を常に使っているならそのままでいいですけど・・・・・・。」

「お、なんだ、なら敬語なんぞ使わん。」

「アハハハ・・・・・。」

その時だった、ドック内に凄まじい警報が鳴り響く。

「なんだっ!?」

するとエレルの通信機が鳴り、エレルは通信で一言二言話した後ミルズ達に向き直る。

「ザフト軍ジュール隊と連合月基地の部隊が戦闘を開始しました、第二級警戒態勢

に移行せよとの事です。」

「ジュール隊が・・・・・・。」

ミルズの頭の中にイザークの顔が浮かぶ。

“あの人とも戦う事になるのか・・・・・・。”

その時だった、ドックにある強化ガラスの窓の外、月の方から凄まじい光が入り込んでき

た。ミルズが見るとそこには月から発射されただろう大型のビームがなにやら巨大な円筒

上の物を使って反射し、宇宙の彼方に放っている姿だった。

エレルがまた通信を受けて会話をし始めるが、いきなり大声を上げる。

「なんですって!?連合の兵器でプラントに被害がっ!?」

「なっ!?」

ミルズ達がエレルに駆け寄る。

「被害はどれくらい?」

「幸い首都は逸れたらしいんですけど、プラント群の一部が消滅。

プラントのデュランダル議長はザフト全軍へ月基地の緊急制圧を命じたらしいです。」

「出撃しましょう、あんなのもう一発撃たれたらプラントがっ!!」

キッカが提案するがエレルは首を横に振る。

「ダメです、私たちが今行ったら余計に戦場が混乱することになります。」

「・・・・・・・・・ミネルバは?ミネルバも攻撃に参加していますか?」

ミルズの言葉にエレルは小さく頷く、それを見てミルズは言った。

「大丈夫だろう、ミネルバがいれば・・・・・シンがやってくれるはずだ。今は信じるしかない。」

そう言って、ミルズは理由もなく歩き出す。そして仲間から離れた所で足を止め呟いた。

「フッ、これから戦うかもしれない相手を信じろ・・・・・か。なんでこんな馬鹿なこと俺は

言ったんだろうな・・・・・クソッ!!」

 

 

 

 

 

 

その後、ミネルバがジブリールを撃ち、ザフト軍が月基地を制圧したその後、

『ここにディスティニープランの導入を宣言します!!』

「ディスティニープラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

クレナイの艦橋のスクリーンでデュランダル議長が高らかに宣言した

言葉をミルズは思わず口ずさんでいた。

「確かに管理されれば戦争はなくなると思うが、それでいいのか?自分たちで切り開くか

らいろんな出会いや、いろいろな事があるんじゃないか・・・・。」

そう言うミルズの手をキッカが同意するように強く握る。振り向くとノイン達も頷く。

「エレル艦長・・・・・。」

「わかりました、アクリア・・・・・クレナイ発進します!!」

「了解、クレナイ発進します。」

アクリアと呼ばれた操艦担当のブリッジ要員が舵を切る。

そして赤い紅の戦艦は戦いの海、宇宙へ飛び出していった。

未来を守るために・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

PHASE-10

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